チチャ日記

9月の独立記念日の際の特別の飲み物としてふるまわれるチチャ。 これまで何度か試したものの、テイシュをはじめとする大勢の人から、「9月のチチャは、ワインに焦がした砂糖をまぜて作ったニセモノ。 本物は、ぶどうを収穫する2〜3月にしか飲めないよ」
その念願のホンモノ(?)をはじめて入手する機会に恵まれました。 購入場所は、サンチアゴから480キロほど南下したチジャンという町から、海側に向かって40キロほど入った、果物の産地であるキジョンという小さな町です。



作り立てのチチャ

とっても甘い、ぶどうジュースそのものです! これだけで飲むと、あまりにもこってりと甘すぎるので、氷をたっぷり入れて飲むとちょうどよいでしょう。 オバサン曰く、このあとぶどうの糖分が発酵して、アルコール化していくそうです。 呼び名も、「ジュース → チチャ → チチョン → ワイン」と変わります。

翌日のハプニング

大喜びで2本買い求め、サンチアゴへ持って帰ってきました。 今後はどんどん発酵が進むので、フタを閉めてはいけないとのオバサンのアドバイス。 それならもう開けておこうとテーブルにボトルを置いてフタをゆるめたら、なんて軽率なワタシ…。 シュ〜ッと音がして、シマッタ!と思ったときは後の祭り。 ボトルからうわ〜っとあふれてしまったのでした…。 床のカーペットにこぼすまいと必死でテーブルクロスで拭き取ったものの、ぶどうの糖分でテーブルはべとべと。 しかし、味はまだまだぶどうジュースなのです。 やや昨日よりは甘みが減ったかとは思いましたが、こんなすごいいきおいで発酵するのかとびっくりしました。

購入して4日目

せっかくだから事務所の同僚達にも味見してもらおうと、昼食後ボトルを持って事務所へ。 アパートから事務所はたった10分の距離。 それなのに、着いてふたをゆるめたら、早くもシュワー。 あふれはしませんでしたが、一秒一刻毎に発酵しているあたりがちょっとこわい。 ちなみにこの日の味は、ぶどうの甘味がぐっと減ってはいたものの、やや中途半端でしたね…。 アルコール度が増してきてはいますが、もう少し渋い味になってほしいという感じでした。

購入して7日目

アルコール度が一気に増して、ほんのりとした甘味。 うまいです。 グラス1杯で結構きます。 ワインでもなく、ジュースでもなく、サワーでもない独特の味。 おつまみなしで、これだけで冷やして飲んだほうがおいしいですね。 翌日も飲んでみましたが、ここまで来ると発酵も一段落したというのでしょうか? テイシュ曰く、「これがチチャの飲み頃」

購入して21日目

チチャの時点で全部飲み尽くせばよかったのに、やはりチチョン → ワインの段階まで試してみたい誘惑に勝てず、必死に取っておいたしろもの。 開けたら発酵が止まっているどころか、ものすごいアルコール臭。 口をつけてみたら、完全にワインと同程度、もしくはそれ以上にアルコール分を含んだものになっていました。
味は赤ワインに近い感じです。 見たところはほうじ茶のような色合いですが、酸味と渋味が強い。 これは私がほっておいたからこうなってしまっただけで、ちゃんと方式にしたがって育ててあげれば、立派なワインになったと思います。 チリでは、通常チチャと言えばブドウから作ったものを指しますが、南部ではリンゴのチチャもよく作られるとのこと。 そちらもなかなかの味とのことで、機会があればぜひ試してみたいですね…。

後日談・クラカビ谷のチチャ

チチャの歌で有名なクラカビ谷に滞在していらっしゃるヒデさんが三種類のチチャをおみやげに持ってきてくださいました! ワタシのこのページを読んで、「チチャにはクルーダ(生)とコシーダ(加熱したもの)があり、9月の独立記念日にふるまわれるチチャは、日持ちのするコシーダです!」
私が冒頭に書いている、「9月のチチャは偽物」説に対し、「中には本物もあるんですよー」とお持ちくださったんですね。
持ってきてくださったのは、三種類。 ヒデさんによりますと、すべてを手作りにしているJULIO社のクルーダ(以下生A)とコシーダ(以下熱B)、そして大量生産しているDURAN社のコシーダ(以下熱C)だそうです。
事務所で数人のスタッフと飲み比べてみたのですが、私的には、熱Bがぶどうの香りも高く、新鮮な果物の持つ独自の甘味を残していて、断然おいしかったです。 肝心の生Aですが、なぜかピリッとちょっと刺激的なアルコールの強さ。 ペットボトルのフタを開けた際の発酵の度合いと甘味の違いから、「ねえ、ヒデさん。 もしかして、熱Bと生Aが逆になっている可能性はありませんか?」(というのも、どのチチャも専用のラベルを貼ったボトルではなく、すべてミネラルウオーター・カチャントゥンのペットボトルに入れられていたので)
ヒデさん曰く、「すでに旬を過ぎて、雨が降った後のぶどうで作ったものなので、出来が今ひとつなんですよー。 しかも、製造してしばらく時間がたっているので、気泡も少ないんです」とのこと。 熱Bがこれだけおいしいのならば(私が飲んだキジョンの生チチャと同じ味)、旬のぶどうで作った生Aは、数倍おいしいだろうなと思わせられるような味でした。
さて、大量生産の熱Cですが、こちらもスーパーで9月に売られている偽物とは全然違う味です。 ただ、煮詰め方が違って、よく煮込まれているのか(?)糖分が熱Bに比べて重かったです。 つまり、新鮮な果物が持っている甘味ではなく、加熱したことによってもったりとした甘さに変わっているんですね。 ちなみに3本のペットボトル(500ml×3本)を4人で飲んだ私たち。 土曜日の昼下がりだというのに、すっかり出来上がり、私などはカオが真っ赤になってしまいました。 同僚くんは、しきりにおなかをさすっていました。 テイシュは「チチャは胃に入ってからも発酵を続けるから、飲みすぎると大変なことになる」
何はともあれ、貴重なチチャの飲み比べをさせてくださったヒデさんに感謝! 今回、私は初めて本物のコシーダを体験させて頂きました。
ヒデさんの解説によりますと、JULIO社のチチャは完全手作りなので、年間2,000リットルしか製造できないそうです。 そのため、工場の前に看板も出さず、地元のためにひそかに販売しているそうですが、もしチャンスがあれば、ぜひお試し頂きたい逸品です!




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