JBLハーツフィールド奮闘記
News 記事を追加更新しました 2010.9/2 更新記事に移動      

知人から、映像掲載の協力依頼がありました。
「みかんのまち」是非ご覧ください。



ジオターゲティング
このホームページはJBLの名器ハーツフィールドのエンクロージャーを手に入れてからユニットを組み込み鳴らすまでの記録です。ハーツフィールドのエンクロージャーを手に入れてからユニットを組み込むまで怠惰な性格もあり結局8年以上かかりました。まずはハーツフィールドの歴史から。

ハーツフィールドの歴史
D30085ハーツフィールドはJBLの初期の最高傑作スピーカーとして知られています。このスピーカーによりJBLは世界的なスピーカー製造メーカーとしての名声を確立しました。ハーツフィールドの製作を手がけたのはJBLの主任技師であり工業デザイナーであったビル・ハーツフィールドです。 1954年、JBLは元々プロフェッショナル用の劇場用として設計/開発された375SIGドライバーと150−4Cウーファーを、このシステムのために新たに開発された537−509ホーン/レンズとフロントローディングの低音ホーン型エンクロジャーに組み合わせて一般家庭用にD30085ハーツフィールドとして発売しました。そして翌55年には「ライフ」で、『夢の究極のスピーカー』として紹介され、JBLの名は全米中に知れわたることになります。ハーツフィールドはその後も、ユニット仕様とホーン設計の両面で発展を続けることになります。  まず1959年に、低音ホーンの構造がシンプルな構造に再設計されました。その変更理由としてまず構造が複雑な折り曲げホーンは、製造コストが高くついたこと、さらに重低音の伸びが不足していたことがあげられています。これらの問題に対処すべく、バート・ロカンシーはウーファー背面のバックチャンバーをより広くするとともに、ホーンの開口部を拡げて、ホーンの通り道をシンプルに改善し、その結果、重低音は目覚しく改善されることになりました。1964年には最後の改良が加えられ075トィーターとN7000ネットワークが追加されて3Wayシステムへと生まれ変わりました。N500Hネットワークも新型のN400に変更されました。  さらにウーファーの150−4CはLE15Aに置き換えられました。エンクロージャーのチップボードの多いものに変わりました。しかしこの年に結局ハーツフィールドは製造中止となります。その理由としてモノラル再生に変わりステレオ再生がメインになったことがあげられています。ちなみに1970年ごろにもハーツフィールドは少数再生産されましたがこれは外観はおなじですが中身は全く異なっており通常別物扱いされているようです。私のハーツフィールドは1959年〜1963年までに生産された中期型と考えられます。

ハーツフィールド奮闘記・エンクロージャー探し
ふと知り合った真空管アンプ製作者宅ではじめてハーツフィールドのすばらしいサウンドを聴かせて頂いたのは20年近く前のことだ。以来ぜひほしいと思っていたが、オーディオのカタログにすら載っておらず、名前すらわからなかった。年数が経ち外観の記憶も薄れていて数年後オークションでクリプシュホーンを見つけ、あのスピーカーはこれだったかなと思い購入してみたがぜんぜん違うものでありすぐに手放したりもした。その後、オーディオ雑誌でハーツフィールドの写真をみかけ、これだ!とようやく謎のスピーカーの正体がわかった次第である。それから本格的なハーツフィールド探しがはじまった。2000年にようやく茨城のオーディオマートという輸入業者からハーツフィールドのエンクロージャーだけを購入することができた。JBLのオリジナルものという話で購入したが、茨城在住の知人の超オーディオマニアによればその業者は本物しか仕入れないそうなのでおそらく、そうであろうと思いたい。無傷といってよい美品であった。その後、いろいろ調べてみたがまずホーンの構造やJBLのロゴ的には初期型ではなくホーン構造変更のの中期型以降のものであり、ネットワークの取り付け穴の構造は、N500H用のものであり、N400用のものではないことがわかった。このことから150-4CとN500Hの中期型である可能性が高い。ハーツフィールドのエンクロージャーは山水などの作った日本製のものもあるそうだが、ユニットの取り付けネジがミリのではなくインチサイズのものであったり、いかにもアメリカ的な大雑把なつくりであることから少なくともアメリカで作られたものであると確信している。ちなみにエンクロージャーは米松合板で作られている。


ハーツフィールドを上から見た内部構造。折りたたみのフロントロードホーンである。


ハーツフィールドの内部の立体構造。


ハーツフィールドのエンクロージャー正面


ハーツフィールドのエンクロージャー後面


JBLのロゴ。中期型と思われる。


ユニット探し
その後からユニット探しがはじまった。まずオークションで運よくハーツフィールド用の537−509ホーン/レンズを手に入れることができた。これはその後もオークションも見るがまず見かけることのないもので大変ラッキーなことであった。JBLの同型のものはほかにもあるが型番がことなり現在537−509を手に入れることは至難のわざであると思われる。つぎに中高域の375ドライバーもオークションで手に入れた。私の375は灰色のオールドのものでなく黒い後期型のものであるが、磁力の劣化を考えれば新しい型の方が良いだろう。375は今でもときどきオークションで見かけるので購入は難しいものではない。灰色の古い型のものもその気になれば手に入れることはできる。さて手に入れるのが一番難しいのがN500Hのネットワークである。これはハーツフィールド用のものであり、後継のネットワークも存在しない。しかしこれまた運よくオークションで手に入れることができた。20万円という値段に躊躇したが今を逃しては二度と手に入れることはできないと思い(実際出品者もそう書いていた)清水の舞台から飛び降りるつもりで落札した。しかしウーファーを購入する前にここで資金はつき頓挫することになる。

N500Hのネットワーク。年代物にしては美品


1961年11月24日と読める。

その後仕事が忙しいこともあってウーファーユニット探しを真剣にしないまま時が過ぎた。オリジナルのハーツフィールドのウーファーユニットすなわち150-4Cを探すのは非常に困難を極めた。しかしアメリカのヤフーのオークションで150-4を安く手に入れることに成功した。安かったのはコーン紙が破損していたことがその理由であった。コーン紙など簡単に張り替えられるだろうと楽観していた。そもそも150-4Cと150-4の違いに気づいていなかった。コーン紙の張替えを業者にお願いしようとアメリカから取り寄せたきり未開封だった150-4の箱を開いたときにその違いに気づいて愕然とすることになる。150-4Cは16オームなのだが、150-4はなんと32オームだったのである。これでは16オーム用のN500Hのネットワークは使えない。しかもJBLの業者にコーン紙の張替えをお願いしたら150-4Cのコーン紙自体のリコーンキットが手に入らないため不可能といわれた。しかし、ここでまた奇跡的に運よくオークションで150-4Cのコーン紙のリコーンキットが売られていて、それを購入することに成功した。コーン紙自体が16オームだからこのコーン紙に変えたら150-4は150-4Cと全く同じものになる。喜び勇んで業者にそのリコーンキットを送ってコーン紙の張替えをお願いしたところ、数日後に返事が業者から来た。ボイスコイルをいれる隙間があまりに狭すぎてコーン紙の張替えは困難というのである。高い金を払ってリコーンキットを購入したのに、とお先まっくらになった。そこで150-4Cの代わりとなるウーファーを探すことにした。150-4Cはまれにオークションでも出品されるが40万円という法外な値段がついてたりして手がでない。ならばとりあえずは代用でと考えたわけである。JBLの業者に相談したところ、150-4Cの代わりならJBLのK145がベストであるとのことであった。K145は150-4Cのプロ用バージョンであり、実質150-4Cと同じである。しかしこのユニットもまた30年以上も前に発売中止になっていてオークションでもまず見かけることのないものであった。しかし探し続けてようやくK145をオークションで手に入れることができた。コーン紙をリコーンしたという代物であったがこの際細かいことにはこだわるまい、これでようやくハーツフィールドが完成するというものである。出品者から届くなり箱からあけてみた。ユニット裏にK145−16とかいてある。たしかに16オームのようだ。

これがK145-16.たしかに16オームと書いてある。

K145のまあ実に重厚なフレーム。こんな38cmユニットは見たことがない。

エンクロージャーのバックチェンバーをはずしたところ。ウーファーのつりつけ開口部が見える。吸音材も50年くらい前のものか、弾力性がまったくなくカチカチになっている。

K145を取り付けたところ。吸音材も新しいのを追加した。
こうしてついにK145をエンクロージャーにつけることができた。エンクロージャーを購入してからウーファーを取り付けるまであしかけ9年近くかかったことになる。

とりはずしたバックチェンバーにあるネットワーク取り付け穴。たしかにN500H用でありほかのどのJBLのネットワークとも合わない。

N500Hをつりつけたところ。N500Hの裏面が見える。ウーファーのコードは穴がありその穴を通すようになっていた。穴の径は小さく、スピーカーケーブルにこだわりが感じられないやはりかなりの年代物のようだ。
こうして一台のウーファーの取り付けが完成し、もう一台のウーファーの取り付け作業にかかったのだがもう一つのK145の箱を開いてとんでもないことが判明した。それがこれだ!

なんとK145-8と書いてある。16オームではなくて8オームだ。もう片方のは16オームと書いてあったのに!左右のインピーダンスが違うなんてそんなばかなことがあるのだろうか。動揺してすぐさまK145の出品者に電話して左右が8オームと16オームと異なるのか、確認してみた。そしたらリコーン物なのでユニット裏の表示には関係なくどちらも8オームだという。これでまたお先真っ暗になった。なんせネットワークのN500Hはウーファーが16オーム用のネットワークである。これでは低音部が使えない。しかも業者にクレームをつけることもできない。なぜなら出品の文章のどこにも16オームと書いていないからである。私は150-4Cのかわりに最適ということでノーマルのK145は16オームだと思い込んでいたが実はK145は8オームがノーマルであり、16オームのはオプションであるにすぎないということが後でわかった。しかしここまできたらもうやめるわけにはいかない。とりあへず8オームのK145で完成させてN500Hは飾りだけにしてネットワークは自作で作ることにした。そもそも50年前のネットワークなどコンデンサーが劣化していて音は明らかに現代のものに劣っているはずである。自分でつくった方がはるかに音がいいさと自分を慰めながら作業を先にすすめた。つぎに375とレンズのとりつけ作業にはいった。天板をはずさずに穴から入れるだけだろうと思っていたがとんでもなかった。とても天板をはずさずにはそんなことはできず仕方なく天板をはずした。

天板をはずしたところ。さらにサランネットもはずさなければ取り付けできないことがわかりサランネットもはずした。

そして375とレンズをつけてついにユニット取り付けとなった。しかし375のまあ重かったこと。

つぎに天板をとりつけたがなぜかレンズの取り付けネジが邪魔してうまく天板がはまらない。その原因として375のエンクロージャーのサランネットが購入したときから上下さかさまだったことが判明した。そこでまた375のレンズをサランネットのネジをはずしてやり直した。そして天板をつけて本体はようやく完成した。さてここからが肝心だ。ネットワークをどうするか。K145が16オームだったらそのままN500Hを使えたのにと未練が残るがこうなったら作らざるを得ない。とりあえず375はN500Hの高音部を使うとしてもウーファーのネットワークは少なくとも自分でつくらねばならない。N500Hの情報として高域は−12dbで500ヘルツでスパッと切っているがウーファーはコイルだけで−6dbで非常に高い周波数できっているということはネットで知りえた。しかし非常に高い周波数ってどれくらいだろう?わからないからとりあえずN500Hの中をあけてみてコイルに何mHを使っているかを確認してみることにした。8オームの場合、16オームのN500Hのコイルの値の半分の値を使えばよいことになる。ところがN500Hをあけてみたらコイルもコンデンサも値が書かれていない。書かれているのかもしれないが全く読めなかった。仕方がないので常識的に800ヘルツあたりのクロスオーバーで−6dbで切ることにした。375が500ヘルツ、ウーファーが800ヘルツだから重なりも十分ありつながりもおそらく大丈夫だろうと思われる。こうしてついに完成し、音だしをしてみた。チェロを鳴らしてみたが非常に朗々と鳴る。まるで楽器のよう。ビート音楽も聴いてみたが中低域が非常に歯切れが良い。クロスオーバーのつながりも良いようだ。しかしハイ落ちは著しく明らかに高域が物足りない。現代ソースはツイーターなしには聴けない感じ。そこで定番どおりスーパーツイーター的に075を追加することにした。幸い075もハーツフィールド用に購入していた。075を追加するにはネットワークを作らねばならないからもういっそN500Hは一切使わずすべて自作ネットにしてしまおうということになった。375はN500Hと同じく低域だけ500ヘルツの−12dbできって高域は切らず、075は7000ヘルツで−12dbでつなげることにした。これがそのネットワークの写真である。

ウーファーのコイルだけはハーツフィールドの後ろにとりつけた。075もネットワークもダイソーの100円の箱に入れた。100円だけどなかなか立派な箱である。

こうして3ウェイのハーツフィールドが完成しいよいよ音だし。高域が延びが俄然よくなり一気に本格的な音になった。昔聴いたハーツフィールドの音そのものである。375の音も純度が増し、高域まで伸びるようになった。やはり50年前のネットワークでは劣化は避けられないようであり、ネットワークの自作は正解だったようである。低域から高域まで音の歯切れがよく同時に音が広がる。無指向性に近い感じでどこの場所で聴いても一様に聴こえる。弦楽器は楽器らしい木の音がする。それでいてボンつくようなホーン臭さもない。たしかにジャンルを選ばぬ万能型のすばらしい音である。yamahaのGF-1を抜いて我が家のエースに君臨することになった。N500Hは組み込んだまま飾りになってしまった。しかしいずれお金に余裕ができたら150-4Cのウーファーを手にいれ、N500Hで鳴らしてみようと考えている。

スピーカーの配置はコーナーではなく逆オルソン型とした。

ユニット紹介
★中高域用音響レンズ&ホーン:537−509ホーン/レンズ
ひときわ眼をひく黄金色の美しい音響レンズです。ハーツフィールド用に開発されたスラントプレートで音道の長さをスピーカーの中心部と周辺で変化させて位相差をつけ、ホーンから平面波で出てきた波を、水平方向に、ほぼ球形波に変えます。さらにスラントプレートを波形に折り曲げて全長を短く抑えています。537−509を、小さいながらもバッフルにマウントして使うことにより低域のクロスオーバーを500Hzまで下げることに成功しています。現在では中古市場を含め手に入れるのは困難です。
★中高域ドライバー用ドライバー:375
4インチダイアフラムと非常に強力な磁器回路を持った16オームのJBL最強のドライバーです。重さ11,8キロはJBLのドライバーの中でも最も重いものです。周波数特性は7KHzぐらいからダラ下がりでこれをスラントプレート をつけて、その辺に少し共振を持たせ10KHzまで特性をフラットにしています。 それ以上は急激にカットされており12KHzくらいまでが再生の限界のようです。
★ツイーター:075
JBLの定番のホーン型ツイーター。2500ヘルツくらいから使えます。
★ウーファー:K145
JBLプロフェッショナル最強の38cmアルニコウーファー。JBLの150-4Cのプロ用バージョンであり、実質的には同じものです。重さ11,9キロはJBLのLE15Aも凌ぐ最重量であり、さらにアルニコVマグネットの9,1キロも最重量です。現在では入手困難です。
★ネットワーク:N500H
500ヘルツのクロスオーバーのネットワーク。150-4Cと375用に作られました。低域側は16オームの−6db、高域側は8オームの−12dbの減衰特性を持ちます。現在では入手困難です。

これより2010年9月2日追加更新分です

その後極上の150‐4Cがペアでオークションに売られたので少々高かったがこの機会を逃すと二度と手に入らないと思い購入した。 それとあいまってK145をオークションで売りに出した。やはり非常に貴重なものだったので予想外の高値で売れた。 それで先方に送ったところ「二本ともコーン紙がボイスコイルにあたっていて、あまりに歪みっぽく使用できない」とクレームがきた。 我が家で鳴らしていたときにはそういうことは全くなかったのでどうやら輸送中の振動でコーン紙がボイスコイルに当たるようになったようだ。それで運んでくれたクロネコヤマトに相談したところ輸送中の破損ということで全額弁償してくれた。全くもって感謝である。当方の梱包が不十分だったかもしれないのに・・である。ほどなくして150‐4Cがアメリカから送られてきたがなんと一機が同じようにコーン紙がボイスコイルに当たり音が歪むではないか。 極上ということで購入したのに!。一体どこまでハーツフィールドは世話をかけてくれるのだろうと途方にくれた。早速先方に連絡をとりはしたものの、とりあえず自分でコーン紙を押したり向きを変えて取り付けてみたりといった自力修正を試みた。そうしたらなんとかコーン紙がボイスコイルに当たらなくなり音がひずまなくなった。ある意味自然治癒である。ボイスコイルに当たるといっても輸送の振動でほんの少しだけコーン紙がずれたのだろう。 大口径のウーファーは本当に振動に弱いと実感した。 そういえば以前ガウスの46cm口径のウーファーを4つ落札したことがあったが4つともコーン紙がボイスコイルに当たっていて返品したことがあったっけ。 正直、大口径ウーファーはもうこりごりである。 ネットワークはオリジナルの150‐4Cが手に入ったことでオリジナルのN500Hを使うことにした。 それで完成したハーツフィールドの音であるが、なんせネットワークが50年くらい前のものだからコンデンサーが大分いかれてるのか少々音が古臭い感じであった。現代物のソースには向かない感じである。しかし古いジャズやチェロの音などは絶品であった。このままハーツフィールドのオリジナルのままでもいいが、いずれN500Hの回路図でも手に入れたらネットワークのパーツを新しいものにして聴いてみるのもいいかもしれない。ちなみに完成したのが 2009年の5月下旬で今はそれから一年3ヶ月たったが調子よく、壊れずに歪みもせずに鳴ってくれている。


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