
UH−60「ブラックホーク」は1972年に開発計画がスタートしたアメリカ陸軍のUTTASC(凡用戦術輸送機システム)の
構想に基づいてシコルスキー社が開発した輸送を主任務とする多用途中型ヘリコプターである。
ベトナム戦争でアメリカ軍が多用したUH−1(当初はHU−1)の活躍は現代戦におけるヘリコプターの有効性をあらためて再確認させる結果となったが、
同時にUH−1のパワー不足、貧弱な防弾装備などの問題点も多く露見する結果となった。UTTASCの開発にはベトナム戦争での
これらの戦訓が多く取り入れられることになり特に生存性の向上は最重視された。
UH−1の後継機として位置付けられたUTTASCの基本要求性能は
・十分なエンジン出力
・重要部位に対する適切な防弾装備
・C−5「ギャラクシー」輸送機での空輸が可能
・1個分隊(約12名)搭載能力
などであった。
UTTASCはボーイング、シコルスキーの競合開発となったがシコルスキー社案が採用され1974年10月に試作機の初飛行が行われた。
この新型ヘリコプターはUH−60「ブラックホーク」と名付けられ量産1号機は1978年にアメリカ陸軍に引き渡され翌1979年
より部隊配備が開始された。
UH−60は輸送を主任務とするが救難や連絡なども担当出来る多用途ヘリコプターでありスタブ・ウイングを装着して左右合計4ヶ所
のハードポイントにAGM−114「ヘルファイア」対戦車ミサイル、2・75インチ多連装ロケットランチャーなどを装備して
攻撃ヘリコプターとしても使用出来る。
(写真左)この機体はスタブ・ウイングを装着していない。UH−60は汎用性の高さが最大の武器と言える。
(写真左)UH−60Lは現行生産型
(写真左)木更津駐屯地で撮影したUH−60L「ブラックホーク」
スキッド式のUH−1に対してUH−60系の機体は車輪を装備している。これにより地上での取り回しは大幅に
向上している(自力で地上滑走が可能)。
(写真左)UH−60Lのコクピット
最初の量産型はUH−60B、次いでエンジン出力をアップしたUH−60C、赤外線抑制装置を装備した現行生産型のUH−60L、 夜間作戦型のMH−60と逐次改良型が登場している。 UH−60は陸軍の他、海軍でも対潜ヘリコプターSH−60B「シー・ホーク」、SH−60F「オーシャン・ホーク」のベースとなった。 また、日本の自衛隊をはじめ多数の西側諸国の軍隊で採用され民間型のS−70も輸出されているなど世界中の軍官民で広く使用されて いる。「ブラックホーク」の名はアメリカ製軍用ヘリの代名詞になったと言える。
メインローター直径16.36m
胴体幅5.43m
全長(ローター含む)19.76m
胴体長15.65m
全高5.13m
最大離陸重量11.0t
エンジン:ターボシャフト2基(搭載エンジン:T700−GEー701C)
エンジン出力:1.662shp×2
最大速度265km/h
巡航速度240km/h
航続距離1.300km
乗員2名+12名