運動能力向上機 T−2CCV
MITSUBISHI T−2CCV

(写真上)岐阜基地で撮影したT−2CCV(用廃機)

T−2CCVは戦闘機の国産開発に必要なデータ取得をする目的でフライ・バイ・ワイヤ技術FBWを装着したCCV(Control Cofigured  Vehicle 飛行形態を電子制御する航空機) 実験機であり高等練習機XT−2(29-5103)を改造した機体である。1980年代にはF−1の後継機となる次期支援戦闘機FS−Xの開発計画が予定されており T−2CCVがこれを前提とした実験機である事は確実である。往来の航空機に比べて操縦性を大幅に向上させるCCVの研究は先進諸外国ではアメリカを中心に 1960年代から進められていた。コンピュータを使用する電子制御による飛行能力は新世代戦闘機には必須と認識されており我が国では昭和53年度から 防衛庁の委託を受けた三菱重工を中心に川崎重工、富士重工、新明和、日本飛行機からなる企業グループにおいて将来に向かってのCCV研究が行われており 昭和56年度からはT−2のCCV実験機への改造が開始され昭和58年8月に初飛行(通常飛行)に成功した。

フライ・バイ・ワイヤFBWは往来の機械式飛行制御に替えて電子信号を使用した電子式飛行制御でT−2CCVには3重式デジタル型が採用された。外観上の最大の 特徴は水平・垂直カナード翼の装着である。T−2CCVは昭和58年8月に初のCCV飛行を行ったが何分にも未知の領域の技術であり飛行制御上の問題点が多く 露見して解決までに時間を要し当初予定よりかなり遅延が発生したらしい。T−2CCVは航空実験団/飛行開発実験団において各種実験に従事したが蓄積された ノウハウ・データはF−2開発に多大な貢献を果たす事になる。なお、FBWは搭載コンピューターによりアナログ式とデジタル式があるがT−2CCVは デジタル式を採用している。

※T−2CCVによる研究成果がなければF−2開発は頓挫した可能性も否定出来ない。

ところで日米共同開発になったF−2は米側がF−16用FBWの対日技術供与を拒否している。 アメリカはあらゆる外交的圧力をかけて日本のFS−X国産開発を断念させて日米共同開発を押し付けたにも関わらず最重要技術とも言えるFBW供与を拒否したのだ。 T−2CCVによる実験ノウハウがなければF−2開発は頓挫した可能性が大だ。この教訓は日米安保体制は常に日本側に有利に働くとは限らない実例だったと 言えよう(第二次大戦中、アメリカはVT信管やノルデン照準器の対英供与を拒否した前例もある)。 T−2CCVは我が国軍事・航空機開発の大きな礎を築いたのである。最先端軍事技術はアメリカに頼らず国産研究を継続させる事が極めて重要である。

(写真左)
垂直尾翼には飛行開発実験団の部隊マークとCCVロゴが記入されている。
T−2CCVは既に用廃されているが岐阜基地で保存されており航空祭で見学出来る。

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