
SH−60KはSH−60Jをベースに三菱重工を主契約者として国産開発された海上自衛隊の哨戒ヘリコプターである。
機体形状の大幅な変更や発動機の換装、SH−60Jでは短魚雷しか搭載出来なかった兵装パイロンに対艦ミサイルAGM−114M
「ヘルファイアU」を搭載可能として往来の哨戒ヘリコプターの主任務である対潜哨戒、対ミサイル警戒に加え対水上打撃力の付与を行う
などSH−60Kの開発計画は改造という範疇を超えて新規開発に近いものであった。
自衛隊では十分に実績のあるアメリカ製軍用機をベースにして国内開発するケースが多いがSH−60Kもその一つである。開発リスク
を押さえ運用面やメンテナンス面からも有利な選択であり今後も同様の開発が行われるであろう。
(写真左)機体左舷側には監視用バブル・ウインドが装着されている。
SH−60Kの特徴
@新規開発されたメインローター
・翼端部が独特な形状をしている。複合材使用・一体成形型で本メインローターの実用化が飛行性能の向上の鍵ともなった。ホバリング重量は
SH−60Jに比べて約1tも向上した。
Aキャビン容積の増加
・SH−60が属するシコルスキー製のUH−60系列のヘリコプターは全高が低くキャビン容積が狭いのが泣き所の一つである。
SH−60Kではその点を少しでも改善する努力が行われており
SH−60Jに比べてキャビン容積が増大し人員輸送や不審船対処用の7.62mm機銃を装備する際の余裕がうまれた。
B改良型発動機の搭載
・SH−60Jが搭載した発動機T700−IHI−401Cの改良型で出力をアップしたT700−IHI−401C2を搭載。
C先進型戦術情報処理表示装置AHCDSの装備
・SH−60Jが搭載するHCDSの発展型。なお、飛行情報統合表示装置IFDSと共にディスプレイ表示されるグラスコクピットを採用している。
D逆合成開口レーダーの装備
・SH−60Kが装備する対水上捜索レーダーは逆合成開口レーダーJ/HPS−105B(三菱電機製)で対水上目標を画像表示する事が出来る。
E対艦ミサイルAGM−114M「ヘルファイアU」の運用能力の付与
・SH−60Kには対艦ミサイルAGM−114Mの運用能力が付与されている。これにより大きな対水上打撃力を有する事になった。
SH−60Kの開発は平成9年度にスタートしたが開発当初の名称は”SH−60J改”であった。
平成13年3月27日には試作1号機の初飛行に成功、翌平成14年6月に試作1、2号機が第51航空隊
に引き渡された。平成17年3月には第121航空隊で部隊運用が開始され型式名称もSH−60Kと改称されている。
(写真左)発動機とメインローター基部の様子
SH−60Kが搭載する発動機はSH−60JのT700−IHI−401Cの改良型で出力をアップさせたT700−IHI−401C2。
出力は前者の1.800shpに対して2.145shpと大幅にアップしている。但しK型は機体重量の増とメインローターの特殊な形状から速力は
J型に比べ10ノットほど低下している。
(写真左)キャビン内に格納されたディッピング・ソナーAN/HQS−104
新世代の低周波ソナーで新型原潜にも対応可能。SH−60Jが搭載しているHQS−103に比べ大幅に性能が向上している。
(写真左)SH−60Kの機首部
先端部左右に見える2本のアンテナはESM用。機首部下部右舷側に見える球体状の装置は赤外線探知装置FLIR、AGM−114Mの誘導も管制する。
(写真左)右舷側後部に装備された箱型形状をした装置はチャフ・フレアと円形形状のフライト・レコーダ
(写真左)コクピット左舷側
SH−60Kは先進型戦術情報処理表示装置AHCDSと飛行情報統合表示装置IFDSをディスプレイ表示としたグラスコクピットを採用している。
SH−60Jの兵装パイロンは短魚雷しか搭載出来なかったがSH−60Kでは左舷側パイロンは大型化され短魚雷の他にも AGM−114Mや対潜爆弾も搭載出来る様になった。これによりSH−60Kは有力な対水上打撃力を有するに至った。
製作
・機体 三菱重工
・発動機 石川島播磨重工
メインローター直径 16.4m
胴体幅 3.3m
全長 19.8m
全高 5.4m
自重 7.2m
全備重量 10.9t
発動機 ターボシャフト2基(搭載発動機:T700−IHI−401C2)
出力 2.145shp×2
最大速力 139ノット
兵装
・短魚雷2本、対艦ミサイル2発
乗員 4名
海鷲の末裔