巡視船「はてるま」型
PL HATERUMA class

(写真上)横浜港で撮影した「しきね」

尖閣諸島付近で行動する拠点機能強化型巡視船

我が国固有領土である尖閣列島は中国や台湾も領有を主張し度々、海洋観測船や漁船、活動船等の領海侵犯事案が発生しており外交上・安全保障上の大きな 懸念材料となっている。
海上保安庁では尖閣列島周辺に巡視船艇を派遣し侵犯船舶に対する監視任務など領海警備任務を行っているが同海域には巡視船艇が 寄港出来る港湾などはなく補給や乗員の休息を行うのに大きな負担が生じていた。そこで計画されたのが通常の警備任務の他に 小型船艇やヘリコプターに補給を行う母船機能を兼ね備えた巡視船であった。当初は3000t級の大きさで計画されたが予算上の理由から1000t級に 縮小されている。同様の理由で兵装も当初計画の40mm機関砲から30mm機関砲に変更されている。 拠点機能強化型と位置付けられる本クラスは「はてるま」型と命名された。「はてるま」型は臨検能力を重視し複合型搭載艇3〜4隻が搭載され合わせて 限定的なヘリコプター運用能力を持ち領海警備・救難任務にも迅速に対応出来る。

(写真右)「はかた」の船首部分
現在は転属により「いしがき」と改名された



「はてるま」型は前甲板に遠隔操作式の放水銃と30mm単装機銃Mk44「ブッシュマスターU」を装備

(写真上左)前甲板には放水銃と30mm単装機銃Mk44「ブッシュマスターU」が装備されている。
共に遠隔操作式、放水銃は20.000g/分の能力を持つ。(写真上右)「はてるま」型は臨検能力を重視し複合型搭載艇3〜4隻を搭載している。

Mk44「ブッシュマスターU」はアメリカ陸軍のM2歩兵戦闘車やM3騎兵戦闘車の主武装である25mm機関砲M242「ブッシュマスター」の改良型でアメリカ海軍や 多くの西側親米国で採用されている。現時点で日本における採用例は「はてるま」型への装備のみであり自衛隊でも採用されていない。海上自衛隊初のFRP製 掃海艇「えのしま」型では当初、30mm機関砲の装備が検討されておりMk44は有力候補だったと思われるが予算上の理由から従来と同じ20mm機関砲が 選定された。「はてるま」型のMk44は細評が公開されておらず不明な部分が多いが日本製鋼所でライセンス生産、兵装システムの組み立てが行われたと推測される。 Mk44「ブッシュマスターU」は外部動力で機関部を作動するチェーンガンで射程約5.100m、発射速度200発/分。巡視船が装備する兵装としては相当に 強力な部類に属する。

本クラスは9隻で建造終了

「はてるま」型は老朽化し解役される船が増えている「しれとこ」型を更新する為に相当数が量産される予定であったが9隻で建造が終了し、より汎用性が 高い「くにがみ」型の建造に移行した。

(写真左)後部から見た7番船「あまぎ」
本クラスはヘリコプター用燃料を搭載するがヘリ用格納庫は有しておらずヘリ運用能力は限定的だ。

はてるまPL−61  平成17年度計画 三井造船玉野事業所  平成20年3月31日竣工
いしがき(旧:はかた)PL−62  平成18年度計画 三井造船玉野事業所  平成21年2月2日竣工
よなくにPL−63  平成18年度計画 三井造船玉野事業所  平成21年2月2日竣工
しもきた(旧:もとぶ)PL−64  平成18年度計画 三井造船玉野事業所  平成21年3月3日竣工
しれとこ(旧:くにがみ)PL−65  平成18年度計画 三井造船玉野事業所  平成21年3月12日竣工
しきねPL−66  平成19年度計画 三菱重工下関造船所  平成21年10月7日竣工
あまぎPL−67  平成19年度計画 三井造船玉野事業所  平成22年3月11日竣工
すずかPL−68  平成19年度計画 三井造船玉野事業所  平成22年3月11日竣工
こしきPL−69  平成19年度計画 三菱重工下関造船所  平成22年3月7日竣工


航行区域 近海(非国際)
船型 長船首楼型
総トン数 1.300t
船質 軽合金
全長 89.0m
幅 11.0m
深さ 5.0m
主機/軸数 ディーゼル4基/ウォータージェット4基
速力 30ノット
兵装
・30mm単装機銃1基


目次へ

海鷲の末裔

ZIPPO ジッポー/U.S.コーストガード 海上保安庁 #280CG

ZIPPO ジッポー/U.S.コーストガード 海上保安庁 #280CG