(写真上)横浜大黒沖を航行中の「しきね」
※新海洋秩序時代の主力として28隻量産された「しれとこ」型
昭和52年(1977年度)7月1日、「領海法」(基線から12浬の外側の線を我が国領海とする)と「200浬法」(”漁業水域に関する
暫定措置法”、我が国基線から200浬以内の海域における漁業等の管轄権を有する)の海洋2法が国会で成立し日本も新海洋秩序時代
を迎えるに至った。
この新しい海洋秩序体制において日本の領海は往来の4倍の海域を有する結果となり、それに加えて世界有数の広大な漁業水域をも併せ持つ
事となった。
海上保安庁では新海洋秩序に対応する為に質量共に大幅な能力・機能の強化を図る必要に迫られ各種の船舶や航空機、装備の増強を開始した。
その中核となって大量整備されたのが巡視船「しれとこ」型である。
「しれとこ」型は公称船型は1,000t型巡視船と呼ばれる。出来るだけ予算を縮小し、かつ短期間での建造が要求され
ていた為に改2−900t型巡視船「だいおう」をタイシップとした設計が採用され同クラスの改良型とも言える性格の巡視船である。
「だいおう」に比べて遠洋区域での行動能力の向上が重視されており凌波性や居住性が改良されている。
第3管区に配備されていたPL−109「しきね」は警備機能強化型指定船で特警隊用の複合型搭載艇4隻を搭載するなどの特徴があった。以下、5枚の写真は 「しきね」の細部写真。
「(写真左)「しきね」船首部
しれとこ」型の船体は耐氷構造であり氷帯外板厚さをB級鋼で船首部16mm、中央部13mmとしている。

「しれとこ」型はタイシップとなった「だいおう」に比べ居住性が改良されている。船長室は航海船橋甲板上に設置。 士官室、士官食堂、調理室、食器室、浴室、便所は上甲板に設置されている。後部甲板室には手術台を備えた医務室が設置されている。 また、洗濯機室、乾燥室も後部甲板室に設けられている。
(写真左)「しきね」に搭載された複合型搭載艇
本船など警備強化指定船は特警隊用の複合型搭載艇4隻を搭載している。
(写真左)「しきね」の20mm機銃座
「しれとこ」型の兵装バリエーションは当初、4パターンあたtが最近では大半の船が20mm多銃身機銃1基のみとなっている。
(写真左)「するが」右舷船首部
新海洋秩序時代に設計された「しれとこ」型では遠洋での行動能力の向上が大きな課題であった。凌波性を高める為に船首にはナックルラインが
設定され船首傾斜も顕著になっているのが分かる。また、船橋構造物後部には減揺水槽を設けている。
「するが」の右舷側ボートダビットに搭載されている7m型高速警備救難艇
「しれとこ」型には同艇が標準搭載されている。
「しれとこ」型はネームシップが昭和53年11月に竣工以来、僅か3年あまりで28隻が就役するという他国にもあまり
例が無い大量建造が行われた。このクラスは30年に渡り日本の海の守りに就いてきたが最近では急速に老朽化が進行し解役される船も
出始めて来ている(2010年7月現在、事故除籍を含め16隻が解役)。
厳しい予算状況の中、新型船への更新が大きな問題となっている。
総トン数965,3t(旧)
常備排水量1,200t
船質:鋼
全通甲板型
航行区域:遠洋
全長77.8m
幅9.6m
深さ5.3m
主機/軸数:ディーゼル2基(搭載主機:新潟3MA40X又は富士8S40BH4A)/2軸
出力:7.000馬力
速力20ノット
航続距離4.400浬
兵装
20mm多銃身機銃
最大搭載人員40名