
KV−107UA−5「しらさぎ」は米バートル社が開発したタンデム・ローター式大型輸送ヘリH−46(当初はV−107)
を川崎重工がライセンス生産した航空自衛隊向けの救難ヘリコプターである。
空自最初の救難ヘリコプターは昭和32年8月(1957年度)から導入されたシコルスキーH−19Cであった。
次いで「フライング・バナナ」の愛称で呼ばれた中古のバイアセッキH−21Bが米空軍から供与された。
その後、昭和38年からは三菱でライセンス生産されたタービンヘリコプターS−62Jが導入された。
これらの機体は能力的に限界があり高度な性能が要求される救難ヘリコプターとしては必ずしも満足がいくものではなかった。
空自ではS−62Jの後継として陸上自衛隊が採用し川崎重工でライセンス生産されていたバートルKV−107Uを次期救難ヘリコプター
として採用する事を決定し昭和40年に最初の2機を発注し昭和42年年11月に初号機を受領した
(「K」は川崎重工でのライセンス生産機を現す)。
アメリカ陸軍が最初に装備したV−107はエンジンの出力不足が指摘されておりエンジンのパワーアップを図った改良型のV−107U
がアメリカ海兵隊向けに生産されていたが陸自が採用し川崎重工でライセンス生産されたのはこのV−107Uである。
陸自に装備されたKV−107UはKV−107U−4と呼ばれる型式であったが、空自仕様機はKV−107U−5と呼ばれる若干仕様が
異なるタイプであった。空自のKV−107Uは救難機として使用する為に以下の特徴を持つ。
@スポンソン内に燃料タンクを増設し航続距離の延長
A捜索用のサーチライト、バブル・ウインドウの装備
B救助用ホイストを2ヶ所(右サイドドアと後部カーゴ扉)に装備
C安定性強化装置SASの装備
KV−107U系は空自で初めて満足出来る性能を持った救難ヘリコプターであった。
1〜17号機まではエンジン出力が1.250shp×2であったが18号機以降は1.400shp×2に強化されている。
KV−107U−5は17機生産されたが、18号機以降はエンジン出力が強化されたKV−107UA−5となり平成2年
2月に最終号機である52号機が空自に引き渡された。
KV−107U−5は既に全機が退役、UA−5も平成21年11月3日、入間航空祭においてラスト・フライトを行い長い現役任務を終了した。
なお、KV−107Uはスウェーデン、タイ、サウジアラビアにも輸出されている。
(写真上)KV−107U系のヘリコプターは日本製軍用機としては珍しく海外輸出された実績を持つ。アメリカ製軍用機を
ベースにした機体を海外輸出するビジネスは今後の日本製兵器の輸出の在り方の一つの指針になるのではないだろうか・・・。右サイドドア上部に見えるのが
救助用ホイスト。他に後部カーゴ扉にも1基装備されている。
製作
・機体 川崎重工
・エンジン 石川播磨重工
メインローター直径 15.24m
胴体幅 2.21m
全長(ローター含む) 25.4m
胴体長 13.58m
全高 5.13m
自重 5.5t
最大離陸重量 9.7t
エンジン ターボシャフト・エンジン2基(搭載エンジン:GE CT58−IHI−110−1)
エンジン出力 1.400shp×2
最大速度 250km/h
巡航速度 240km/h
実用上昇限度 約4.200m
航続距離 1.200km
乗員 5名 便乗者25名