地対空誘導弾 改良ホーク 改善V型
Improved HAWK step3

(写真上)第324高射中隊の3連装発射機と誘導弾

※ホーク導入の経緯

ホークはレイセオン社が米陸軍の為に開発した中・低高度をカバーする中距離地対空ミサイルである。
初期生産型であるMIM23Aは昭和29年(1954年)に制式化されており米軍でも最も古く開発された対空ミサイルの一つである。 誘導方式はセミ・アクティブ・レーダー・ホーミングを採用するなどその後の中距離地対空ミサイルの原型となった。我が国では陸上自衛隊向けに2次防 でMIM23A相当の基本ホークの導入が開始され最初の部隊配備は昭和39年度末の事であった。同時期に配備が行われていたナイキ・アジャクス (当初は陸自装備、後に空自に移管)が高高度用であり2種の地対空ミサイルで異なる空域をカバーする防空体制を取る事になった。昭和40年前後は空自の F−104Jが戦力化し海上自衛隊でも初の対空ミサイル搭載護衛艦「あまつかぜ」が竣工するなど自衛隊でも本格的なミサイル時代を迎えた時期でもある。
1960年代中盤から70年代にかけて、空自のエア・カバーを受けられない状況では陸自にとってホークは事実上唯一の近代的防空戦力でもあった。 陸自のホークにかける期待の大きさが理解出来る。 一方で当時の先端技術を投入したホークはそれだけ調達価格も高く同時期の陸自の全ての兵器の中でも最も高価であった。8個高射特科群へのホーク配備は 予算面から見ても陸自の命運を左右しかねないほどの重要課題であったのである(1個高射特科群の予算で1個師団の全装備が購入出来たらしい)。 今日から振り返ってもミサイル時代の到来を正確に予見した陸自の決断は高く評価出来よう。

※ホークの構成

基本ホークで採用されたセミ・アクティブ・レーダーホーミング誘導方式や3連装発射機に装填されるスタイルは最終発展型(改善V型)まで継承されている。 米軍ではA型の改良型であるMIM23Bを1972年から配備したが陸自でもこれに相当する改良ホーク(初期型)を昭和52年度から調達した。以後も電子戦能力 やシステムの信頼性向上が逐次行われ昭和57年度からは改善T型、昭和62年度からは改善U型が調達された。平成3年度からは最終発展型の改善V型の調達が 始まった。改善V型は射撃統制機能の集約化が行われ改善U型までの測距レーダー、情報調達中枢、中隊統制中枢を中隊指揮装置として一本化している。

(写真左)第1高射特科群第302高射中隊の改良ホーク改善V型
3・1/2tトラックに牽引される運搬パレットと装填された誘導弾

(写真左)第6高射特科群第324高射中隊の改良ホーク改善V型

(写真左)運搬パレット
燃料も基本ホーク以来固体燃料であるが基本型の射程が約30kmなのに対して改良ホークは約40kmと延長されている。

(写真左)3・1/2tトラックに牽引される3連装発射機

(写真左)運搬用ローダ
誘導弾を運搬パレットから発射機に移動させる

(写真左)3・1/2tトラックに牽引されるCW補足レーダー

(写真左)3・1/2tトラックに牽引される高出力イルミネーターレーダー
ホークはセミ・アクテイブ・レーダー・ホーミング方式なのでこの高出力イルミネーターレーダーから目標に照射された電波を元にミサイルを誘導する。

ホークは高射特科団、高射特科群に配備され方面隊レベルで運用される。ホーク装備の高射特科団/高射特科群の編成は以下の通り。

※ホーク装備の高射特科団

高射特科団本部━本部管理中隊
    ┃
    ┣ 高射特科群
    ┗ 高射特科群

※ホーク装備の高射特科群

高射特科群本部━本部管理中隊
    ┃
    ┣ 高射中隊(発射機6基)
    ┣ 高射中隊(発射機6基)
    ┣ 高射中隊(発射機6基)
    ┣ 高射中隊(発射機6基)
    ┗ 高射搬送通信中隊・・・この中隊は部隊全般の通信ネットワークシステムを構成している。

なお、沖縄の第15旅団のみは隷下に第6高射特科群を配備している。第1混成団時代からの編成であるが陸自で唯一、作戦基本部隊にホーク部隊が編入されている 例である。

※第15旅団の編成

旅団司令部━旅団本部付き隊
   ┃
   ┣ 第51普通科連隊
   ┣ 第6高射特科群
   ┣ 第15偵察隊
   ┣ 第15施設中隊
   ┣ 第15通信隊
   ┣ 第15飛行隊
   ┣ 第15後方支援隊
   ┣ 第101不発弾処理隊
   ┗ 第15音楽隊

ホークは兵器史に名を残すミサイルであるが誕生から半世紀を経過しこれ以上の改良の余地はなく高性能化著しい新世代航空機に対抗するのは極めて困難と なってきた。特に同時多目標対処能力や低空侵入目標に対する能力は今日では完全に旧式となっている。陸自でもホークの後継となる国産開発の03式地対空誘導弾 の配備を進めておりホークは徐々に姿を消しつつある。

製作:三菱電機、東芝(ライセンス生産)
※誘導弾諸元
全長5.120mm
直径356mm
重量625s
弾頭重量54s
固体燃料

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