
橋立
特務艇「はしだて」は設計段階より国内外のVIPの歓迎レセプションを目的に建造された海上自衛隊初の専用迎賓艇である。
「はしだて」以前にも他の艦種を改造した迎賓を任務とする特務艇は3隻存在した。
※他艦種から改造された迎賓用特務艇
・「ゆうちどり」・・・初代は昭和18年に竣工した帝國海軍の300t型飛行機救難船「公称1536号」の後身である「ゆうちどり」であった。
戦後は連合軍が押収し小型客船として使用していたが昭和23年8月日本側に移管され海上保安庁で使用、昭和27年8月には当時の海上警備隊に移管され
掃海船(後に掃海艇に種別変更)として使用され昭和39年(1964年)の東京オリンピック時にヨット競技支援を行う迎賓任務に改造された。
昭和53年3月20日に除籍。
・「はやぶさ」・・・次に迎賓任務に就いたのが駆潜艇改造「はやぶさ」である。
本艇は昭和29年度計画で建造され昭和32年6月に竣工した駆潜艇であるが試験的にガスタービンを搭載した試作艇としての性格が強い艦艇であった。
同型艇はない。昭和52年度に特務艇に改造され昭和62年2月28日除籍。
・「ひよどり」・・・そして3代目が同じく駆潜艇から改造された「ひよどり」であった。
本艇は「みずどり」型に属し昭和41年2月に竣工した海自最後の駆潜艇で昭和62年度に特務艇に改造され平成11年7月6日に除籍。
この3隻はいずれも改造艇であったが、平成9年度(1997年度)計画で建造された平成11年に竣工した「はしだて」は当初から迎賓を主任務とし計画・建造 されているので改造艇よりはるかに効率的で余裕のある設計であり会議室、休憩室、プロムナードなども完備しゲスト区画はバリア・フリーとするなど新しい時代の 考え方も取り入れており乗艦者への配慮も十分になされている。船質は軽合金、船型はV型を採用。 また阪神・淡路大震災の教訓から非常災害時には救難艇として使用出来る様に医療、給食、指揮支援が行える様に考慮されている。 「はしだて」は海自では珍しい並列2本式の煙突を有するが左舷側はダミー。横須賀警備隊に配備されている。
※「はしだて」は海自初の統合艦橋システムを採用した艦艇でもある
「はしだて」の大きな技術的特徴として海自艦艇として初めて統合艦橋システムIBS(Integrated Bridge System )を採用した点があげられる。
IBSは運航の効率化や衝突・座礁事故を回避させる為の情報を一元管理させる統合システムでありGPSや操舵機器、通信機器、気象機器、機関制御機器など
を全て統合している。
(写真右)東京城南島付近を航行中の「はしだて」
グレーと白色のツートンカラーは海自で唯一。因みに従来の迎賓用特務艇は全て白色塗装であった。
ハルナンバーが2桁なのも自衛艦艇では「はしだて」だけだ。
| はしだて | ASY−91 | 平成9年度計画 日立神奈川 平成11年11月30日竣工 | 横須賀地方隊横須賀警備隊 |
|---|
基準排水量 400t
満載排水量 490t
全長 62m
幅 9.4m
深さ 4.6m
喫水 2.0m
主機/軸数 ディーゼル2基(搭載主機:新潟原動機16V16FX型)/2軸
出力 5.500馬力
速力 20ノット
乗員 29名(他に便乗者約180名)
海鷲の末裔