戦闘攻撃機FA−18C 「ホーネット」 @
BOEING FA−18C Hornet No.1

(写真上)アメリカ海軍VFA−195所属のFA−18C「ホーネット」
FA−18CはF−16と同じく主翼両端に対空ミサイル「サイドワインダー」を搭載可能。岩国基地で撮影

今やアメリカ海軍海兵隊航空の主役となったFA−18「ホーネット」

F−14「トムキャット」が全て退役した今日ではFA−18「ホーネット」シリーズはアメリカ海軍/海兵隊航空の主役の地位を ほぼ独占した感さえある。しかし、戦闘攻撃機FA−18の今日に至るまでの道のりは決して平坦ではなく長い紆余曲折があった。 実用化されるまでの間、ここまで苦労があった軍用機も稀であろう。
FA−18の原型は1970年代にノースロップ社が開発したYF−17に遡る。当時、アメリカ空軍では高性能なF−15の 配備を計画していたがF−15は高価格でありさしものアメリカ空軍でも大量配備は難しい状況にあった。そこでF−15を補完する ハイ&ロー・ミックスの考え方が生まれ比較的安価な軽量戦闘機の開発が行われる事になった。
この軽量戦闘機計画に基づいて作られたのがジェネラル・ダイナミックス社のYF−16とノースロップ社のYF−17であった。 両者の最大の考え方の差はエンジンでYF−16は単発、YF−17は双発エンジンを装備していた。 1975年1月、アメリカ空軍はYF−16を選定する事に決定しYF−17は敗れ去る結果になった。しかし、"捨てる神"がいれば "拾う神"がいた。アメリカ海軍である。海軍では戦闘機F−4「ファントム」と攻撃機A−7「コルセア」Uの双方の後継となりうる 戦闘攻撃機の開発を模索していた。制約が多い空母での運用を考慮し1機種で戦闘・攻撃の両方の任務をこなせる軽量型艦載機である事が 最重要課題であった。開発リスクを押さえる為に空軍の軽量戦闘機の改良型を海軍航空戦闘機として採用する事としたが空軍の 選定とは逆にYF−17が採用されYF−16は不採用となった。

※海軍で採用が決定されたYF−17はモデル267となり主契約者は海軍機で経験豊富なマクドネル・ダグラス社に変更となる

海軍でYF−17が選定された最大の要因は同機が海軍が重視する双発エンジンだった事による。YF−17を海軍型として開発するにあたって 主契約者はノースロップ社からアメリカ海軍機の開発で経験豊富なマクドネル・ダグラス社に変更された。マクドネル・ダグラス社のYF−17艦載機計画はモデル267 と呼ばれるものであったがその内容は以下の様なものであった。

@エンジンをJ101から出力アップしたF404−GE−400に変更
A翼面積の増加
B水平尾翼や主翼フラップの再設計
C降着装置の再設計、着艦フックの増設
DAN/APG−65レーダーを装備し全天候性能を付与

FA−18の試作1号機は1978年11月に初飛行、量産1号機は1980年5月に海軍に引渡しが行われ1983年1月に 最初の部隊編成が完了した。FA−18の量産型は単座型がFA−18A、複座型がFA−18Bと命名された。

(写真上左)海軍VFA−94所属のFA−18C機首部
レドーム内にはルックダウン能力に優れた火器管制レーダーAN/APG−73が収容されている。最近ではレーダー能力向上計画により更に性能が 強化されている。
F−14やF−4に比べて小型軽量な機体は空母艦上での運用効率が大幅に向上する。米空母の甲板はFA−18シリーズで埋め尽くされている。

(写真上左、上右))同じくVFA−94所属機の左舷側
FA−18Cの主翼下外側パイロンには通常AIM−7L/M「スパロー」が装備される。その他、各種ミサイルや爆弾、増槽タンクなど約7tの機外兵装 搭載能力を有する。

※たゆまない改良が行われ能力を向上させてきたFA−18

FA−18は常に性能向上の為の改良が行われてきた。
1986会計年度予算発注分以降は兵装搭載能力を強化する事を主体に改良されたC/D型の生産にスライドした。C/D型は核爆弾の運用能力をはじめ 対艦ミサイル「ハープーン」や各種誘導兵器の搭載も可能でマルチファイターの名に恥じぬ多用な任務を遂行出来る。80年代後半にはC/D型に 夜間作戦能力を付与させる計画が実施された。現在、第一線にあるC/D型の大半は夜間作戦能力を持っている。1992年10月以降に 引き渡された機体はエンジンをF404−GE−402に換装。1994年5月以降に引き渡されたC/D型は搭載レーダーを 往来型のAN/APG−65から発展型のAN/APG−73に換装している。
ノースロップ社の軽量戦闘機の試作型YF−17をベースに発展したFA−18は長い時間をかけて熟成され今や名目ともにアメリカ海軍 /海兵隊航空の主力となった。YF−17が空軍で不採用になった時、誰が今日のFA−18の華麗な姿を想像出来たであろうか・・・? 当初の構想とは大きく異なった形で花開いた機体であった。もちろん、海軍の伝統にマッチした双発エンジンを搭載したYF−17の基本設計の優秀さが根底に あった事は疑いの余地がない。F−35の開発が遅延する現状においてFA−18は今後も相当長期間に渡り第一線にあり続けるであろう。

全幅11.43m(主翼折り畳み時8.38m)
全長17.07m
全高4.66m
最大離陸重量25.4t
エンジン
・F404−GE−400(1992年10月以前引渡し分)
・F404−GE−402(1992年10月以降引渡し分)
最高速度1,8マッハ
固定武装
・20mmバルカン砲M61A1 
機外兵装搭載能力約7t
乗員1名

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