戦闘機F−15C「イーグル」
Boeing F−15C Eagle


ベトナム戦争は航空戦でも多くの戦訓を米軍に与えた。
圧倒的な航空兵力を有する米軍に対してソ連製のMiG−17やMiG−21を装備した北ベトナム空軍は果敢に戦闘を挑み米軍機に 手痛い損害を与えていた。F−4「ファントム」など当時の米軍主力機はドッグファイト(格闘戦)で必ずしも北ベトナム軍戦闘機に 対して絶対的優位を保てなかった。F−4の後継となる空軍の戦闘機の開発計画は1965年にスタートしていたが当然にベトナムでの 戦訓を大いに取り入れるものとなった。その中でも最も重視されたのはドッグファイトに打ち勝つ強力な空戦性能であった。F−4は 戦闘機としても攻撃機としても運用出来る万能機を目指した機体であったがベトナム戦争での熾烈な航空戦の結果、制空任務に特化した 戦闘機の必要性が強く認識されたのである。

※MIG−25ショック

加えて1967年7月のモスクワ航空ショーで登場したソ連軍のMiG−25は西側に大きな衝撃を与えた。当時の西側軍事筋は MiG−25を”ドッグファイトを重視した制空用戦闘機”と評価した。これらの事態を踏まえアメリカ空軍では1968年9月、F−4「ファントム」の後継 となる次期戦闘機FXの基本要求が纏められ最大速度2.5マッハ、空戦能力を最優先する事などが盛り込まれた。
FX計画にはマクドネル・ダグラス、ノースアメリカン・ロックウェル、フェアチャイルド社の3案が検討されたが1969年12月 にはマクドネル・ダグラス社案が選択された。マクドネル・ダグラス案のFXは双発エンジン、高翼、双垂直尾翼の採用などソ連の MiG−25を彷彿させる外観であるが設計の根本的な思想は大きく異なる。当初、西側はMiG−25を制空用戦闘機と判断していた が実際には米軍戦略爆撃機を要撃するための高高度迎撃戦闘機であり機動性などは西側が予想したほどの能力ではなかった。 機体構造や電子戦能力もF−15の方が1世代新しい戦闘機であった。 単座型試作1号機(F−15A)、複座型試作1号機(TF−15A)は共に1972年7月に初飛行に成功、量産型は1976年1月 から実戦部隊に配備が開始された。高度な軍事機密であるF−15の海外輸出先は限定されており最初の導入国はイスラエルであった。イスラエル空軍の F−15は1982年6月のレバノン侵攻で実戦初参加しシリア軍相手に圧倒的な勝利を収めF−15の優れた能力を世界に証明した。

(写真左)ジェットエンジン空気取り入れ口(エアインテイク)は飛行状況に応じて自動的に上下に可動し空気吸入量を 最適な数量に調整する可変式になっている。


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(写真上右)胴体下面には各種アンテナが装備されている。
右舷側主翼付け根には20mmバルカン砲M61A1の銃口部が見える。固定式機関砲を装備したのもベトナム戦争の戦訓からである。

F−15の”眼”、火器管制レーダーAN/APG−63

F−15に搭載される電子戦装置の中でも最も重要なのが火器管制レーダーAN/APG−63である。
AN/APG−63はパルス・ドップラー・レーダーで小型目標は約140〜150kmの距離で探知可能、ルックダウン能力も 保有、搭載するAIM−7A「スパロー」、AIMI−9「サイドワインダー」を管制する。AN/APG−63は空対空モードが基本 であるが地対空モードへの切り替えも出来る。ただし、あくまで空対空が基本であり地対空能力は付随的なものらしい。

A型の機内燃料搭載量を増やしたF−15C

当初の生産型であるF−15Aに替わって1979年5月以降の生産機は改良発展型のF−15Cとなった。主な改良点は機内燃料搭載量を増やし航続距離を増大 させた点である。米空軍ではF−15Cに対して段階的な能力向上MSIPを実施しており戦力を大幅に強化している。なお、航空自衛隊が導入し 三菱重工でライセンス生産されたF−15JはC型をベースにした日本仕様機である。因みに米空軍以外で初めてF−15導入国 となったイスラエル軍のF−15はA型であった。(※マクドネル・ダグラス社はボーイング社に合併されており、今日では ボーイングF−15と表記される。)


※アメリカ以外のF−15導入国

・イスラエル空軍F−15A/B/C/D/I
・航空自衛隊F15J/DJ
・サウジアラビア空軍F15C/D/S
・韓国空軍F−15K
・シンガポール空軍F−15SG

F−15I、F−15S、F−15K、F−15SGは対地攻撃能力を強化したアメリカ空軍F−15Eの輸出型

※要目はF−15C能力向上型MSIPのもの
全幅 13.05m
全長 19.43m
全高 5.63m
最大離陸重量 31.057s
エンジン アフターバーナー付きターボ・ファン×2(搭載エンジン:プラット&ホイットニーF100ーPW−220)
推力 8.600kg×2
最大速度 2.5マッハ
兵装
・AIM−7M「スパロー」×4
・AIM−9L「サイドワインダー」×4
・20mmバルカン砲M61A1
乗員 1名

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海鷲の末裔

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