ミサイル駆逐艦「アーレイ・バーク」級(フライトT) @
DDG ARLEIGH BURKE class FlightT No.1

(写真上)横須賀基地に入港する「フィッツジェラルド」

ミサイル駆逐艦「アーレイ・バーク」級はアメリカ海軍で初めて(もちろん世界でも初)イージス・システムを搭載したミサイル巡洋艦 「タイコンデロガ」級に次ぐ第2世代のイージス艦として計画された。
「タイコンデロガ」級は往来型水上艦の防空力・情報処理能力を遙かに凌駕する高性能艦であるが建造費も高騰し、ある程度能力を縮小し コストを低減した量産型イージス艦の必要性が認識されるようになった。「アーレイ・バーク」級の当初計画では本艦型は「タイコンデロガ」 級を補完するものとして捉えられていた。「アーレイ・バーク」級の基本要求は以下の通りであった。

@建造費、能力共に「タイコンデロガ」級の75%に押さえる。
A垂直ミサイル発射装置VLSに搭載するミサイルは90発(「タイコンデロガ級は122発。以下カッコ内は同)
Bミサイル誘導用イルミネーターは3基(4基)
Cフェーズド・アレイ・レーダーは軽量型SPY−1D(SPY−1A/B)
D旗艦・司令部機能は有しない(旗艦・司令部機能を有する)
Eヘリ甲板は設置するがヘリ格納庫は設置せず固有ヘリは搭載しない(ヘリ格納庫を有し2機搭載)

「アーレイ・バーク」級は軽量型イージス艦として計画されたが実際には当初計画より大分大型化・高性能化し建造費も大幅に増額している。 「タイコンデロガ」級に比べると切り詰められた設計で余裕が乏しい、とも言われるが「スプルーアンス」級駆逐艦をベースにした「タイコンデロガ」級 に比べて「アーレイ・バーク」級は当初からイージス・システムを搭載するように設計されている為にSPY−1Dをはじめ各種装備は 合理的配置になっている。また、設計が新しいのでステルス性は大幅に向上しておりスタイルの点からも新世代の水上戦闘艦である事を強く印象つける。 フェーズド・アレイ・レーダーと共にイージス艦の特徴である垂直ミサイル発射装置VLSはMk41を2基(前部29セル、後部61セル)を装備し各種ミサイルを 搭載している。主機はGE製のLM2500を4基搭載、本クラスは駆逐艦に分類されながら出力は100.000馬力を超えている。
日本やノルウエー、韓国などでもイージス艦の整備が進んでいるが主要水上戦闘艦艇の大半をイージス艦に更新出来たのは一人アメリカ海軍のみでありあらためて その国力には驚嘆せざるを得ない。

(写真左)横須賀基地のドライ・ドックに入渠中の「カーティス・ウィルバー」
イージス・システムを搭載した「アーレイ・バーク」級は長さ/幅比が7,54と幅広の船型となった。 フェーズド・アレイ・レーダーの視界を最大限確保するためにアレンジされた煙突やマストの状態が分かる。

(写真左)「カーティス・ウィルバー」のアイランド構造物
「アーレイ・バーク」級は艦橋にイージス・システムの”眼”と言うべき4基のフェーズド・アレイ・レーダー SPY−1Dを装備するが同レーダーの視界を最大限に確保する為に艦橋や煙突にはテーパーがかけられている。このテーパーは ステルス性向上にも大きく寄与しており”一石二鳥”の効果を生み出しているが反面、艦内余裕が乏しくなった、との批判もある。
マストは計画当初は往来型のトラス構造タイプが予定されていたが、最終的にステルス性に優れた三脚型が採用されている。

(写真左)「カーティス・ウィルバー」の艦橋付近
艦橋前には近接防御兵器20mmCIWSが装備されている。艦橋上にはイルミネーター用レーダーSPG−62が見える。 艦橋側面に設置されている八角形の物体はフェーズド・アレイ・レーダーSPY−1D。 ウイング下方には電子戦装置SLQ−32(V)3が装備されている。

(写真左)「ジョン・S・マッケーン」右舷側後部煙突付近に搭載されている複合型搭載艇

(写真左)「ジョン・S・マッケーン」の後部煙突後方付近
2基のSPG−62、20mmCIWS、3連装短魚雷発射管などが見える。

(写真左)「ジョン・S・マッケーン」のヘリ甲板
「フライトT」はヘリ甲板を備えヘリによる輸送ヴァートレップが可能であるが、ヘリ格納庫は有していない。

(写真左)「ジョン・S・マッケーン」に装備された25mm機銃Mk38
チェーンガンの一種で発射速度は200発/分。小型高速艇による自爆テロ攻撃などに対応する為に搭載されている。

(写真左)「ジョン・S・マッケーン」の後部煙突後方に装備されている近接防御兵器20mmCIWSと2基のSPG−62
「アーレイ・バーク」級が搭載している2基の20mmCIWSは共に中心線上に配置され両舷に射撃可能。

(写真左)後部20mmCIWSと後部VLSに挟まれて装備されている「ハープーン」対艦ミサイル4連装発射筒

(写真左)3連装短魚雷発射管

ネームシップである「アーレイ・バーク」は1991年7月に竣工し以後、多数の同型艦が建造されこのクラスは今や質量共に アメリカ海軍を代表する水上戦闘艦艇になった。「アーレイ・バーク」級は建造期間が長くなっているので初期建造型である原型の他、 既に2種類の改良型が登場している。1〜21番艦は(フライトT)と呼ばれる原型、22〜28番艦は搭載ミサイルと関連機器を変更した (フライトU)と呼ばれる中期型、29番艦以降はヘリ格納庫を設置しヘリ2機を搭載出来る様になった(フライトUA)と呼ばれる後期 型となっている。

(写真左)横須賀基地を出港する「フィッツジェラルド」
本艦はミサイル防衛MD能力を有する。

(フライトT)
アーレイ・バークDDG−51 1991年7月竣工
バリーDDG−52 1992年12月竣工
ジョン・ポール・ジョーンズDDG−53 1993年12月竣工
カーティス・ウィルバーDDG−54 1994年3月竣工
スタウトDDG−55 1994年8月竣工
ジョン・S・マッケーンDDG−56 1994年7月竣工
ミッチャー DDG−57 1994年12月竣工
ラブーンDDG−58 1995年3月竣工
ラッセルDDG−59 1995年5月竣工
ポール・ハミルトンDDG−60 1995年5月竣工
ラメージDDG−61 1995年7月竣工
フィッツジェラルドDDG−62 1995年10月竣工
ステザムDDG−63 1995年10月竣工
カーニイDDG−64 1996年4月竣工
ベンフォルドDDG−65 1996年3月竣工
ゴンザレスDDG−66 1996年10月竣工
コールDDG−67 1996年6月竣工(※2000年10月にテロ攻撃で損傷、修理時に合わせてフライトUに準じる改造)
ザ・サリヴァンズDDG−68 1997年4月竣工
ミリアスDDG−69 1996年11月竣工
ホッパーDDG−70 1997年9月竣工
ロスDDG−71 1997年6月竣工

満載排水量8.422t
全長153.8m
幅20.4m
喫水6.3m(ソナー部9.9m)
長船首楼型
主機/軸数:ガスタービン4基COGAG(搭載主機:GE製LM2500)/2軸
出力:105.000馬力
速力32ノット
兵装
垂直ミサイル発射装置VLS2基(90セル)、ハープーン対艦ミサイル4連装発射筒2基、127mm単装砲1基、20mmCIWS2基、 324mm短魚雷発射管2基
乗員346名

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