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(写真左)横須賀基地逸見岸壁に接岸中の「やまぎり」
「あさぎり」型は「はつゆき」型の拡大改良型として建造された護衛艦である。
88艦隊の基本構成艦として対空・対艦・対潜にバランスの取れた汎用護衛艦というコンセプトは「はつゆき」型と同じであるが
予算上の制約からコンパクトに設計され余裕に乏しくなってしまった「はつゆき」型の教訓から「あさぎり」型は排水量を約500t
増大させ各部に余裕を持たせた設計であった。「はつゆき」型では1本煙突であったが本クラスは2本となり外観上の特徴となっている。
・船体・上部構造物
「はつゆき」型はコンパクトに纏められた船体に多数の兵装や電子戦装備を搭載させた為に少しでも重量を軽減させる必要が生じ
上部構造物にアルミ合金を多用し船体も上甲板が複雑なラインを形成する結果となった。大きさに余裕が生まれた「あさぎり」型は
上部構造物は全て鋼製であり抗堪性が強化されている。また、上甲板ラインはすっきりとしたデザインになった。煙突も2本になった為、
艦内煙路の配置が簡素化されている。また、マストも2本式になり電子戦・通信関係の装備位置が合理的なものとなった。
・機関関係
「はつゆき」型は海自初のオール・ガスタービン護衛艦であったがその主機構成は高速用と巡航用に異なる2種のガスタービン機関を
搭載するCOGOG方式である。これに対して「あさぎり」型は高速用と巡航用に同一の主機を使用するCOGAG方式を採用した。
同一主機による併用のメリットは大きく「あさぎり」以後の海自ガスタービン艦はCOGAG方式が主流になっている。なお、本クラスが
搭載するガスタービン機関は川崎重工がライセンス生産したロールスロイス・スペイSM1Aである。「あさぎり」型は海自艦船
としては初めて艦橋主機操縦装置が採用された艦でもある。
・兵装関係
「あさぎり」型が搭載する兵装は「はつゆき」型と基本的に同じである。
対艦ミサイルに短SAM、哨戒ヘリコプターを搭載するなどバランスの取れた兵装であり80年代の水上戦闘艦艇としては十分な兵装であったと言えよう。
・情報処理能力関係
「あさぎり」型が搭載している戦術情報処理装置OYQ−6は「はつゆき」型のOYQ−5のソフトウェア変更型と言われている。
データリンク装置は「はつゆき」型では受信用のリンク14しか装備していなかったが「あさぎり」型ではリンク14に加え送信用
のリンク11が装備された。また、ヘリコプターと情報を交換するデジタル通信系も設置され情報処理能力は大幅に向上している。

(写真上)「あまぎり」の左舷側艦首部から艦中央部付近の様子
「はつゆき」型では上部構造物にアルミ合金が多用されていたが「あさぎり」型では鋼製に統一され抗堪性が強化された。アスロック発射機は往来型で
垂直ミサイル発射装置VLSは装備されていない。
(写真左)「あまぎり」のヘリコプター格納庫
垂直で構成されたデザインはステルス性からは不利であり新世代の艦艇と比較すると時代の激烈な変化を痛感させる。本クラスの格納庫はヘリコプター
2機搭載を考慮しているが原則は1機搭載である。格納庫上のレドームは射撃指揮装置FCS−2型12(短SAM管制用)。艦尾付近に装備された
シー・スパロー8連装発射機の下には係留装置が装備された甲板がある。
昭和60年度計画以降に建造された後期建造艦4隻は電子戦装置などが改良されている。 前期建造艦が搭載していた対空レーダーはOPS−14であったが後期建造艦では3次元レーダーOPS−24に換装されている。 対空ミサイル管制用の射撃指揮装置も前期建造艦がFCS−2型12Eだったのに対して改良型のFCS−2型12Gになっている。 本艦型は8隻建造されたが2番艦「やまぎり」は平成15年度、ネームシップの「あさぎり」は平成16年度にそれぞれ練習艦に種別変更 された。「はつゆき」型の「しまゆき」に続くもので第一線艦を練習艦に転用する事で教育訓練体制を大幅に充実させたと評価出来る。なお、護衛艦の減勢に 伴い平成23年3月16日付けで「やまぎり」が、24年3月14日付けで「あさぎり」がそれぞれ護衛艦に復帰した。なお、「はつゆき」型の種別変更で 護衛艦改造練習艦3隻体制は維持される。また、防衛予算削減の影響で新型護衛艦の建造が縮小される方向であり対応措置として「あさぎり」型の艦齢延命 (10年程度)が実施される見込み。なお、装備の近代化は行われないらしい。出来ればアスロック用VLSや新型短SAM シー・RAMを装備して欲しいところなのだが・・・。
| あさぎり | DD−151 昭和58年度計画 石川播磨重工東京工場 昭和63年3月17日竣工 平成17年2月16日付けで練習艦に種別変更 平成24年 3月14日付けで護衛艦に復帰 |
|---|---|
| やまぎり | DD−152 昭和59年度計画 三井造船玉野事業所 平成元年1月25日竣工 平成16年3月18日付けで練習艦に種別変更 平成23年 3月16日付けで護衛艦に復帰 |
| ゆうぎり | DD−153 昭和59年度計画 住友重工浦賀工場 平成元年2月28日竣工 |
| あまぎり | DD−154 昭和59年度計画 石川島播磨重工東京工場 平成元年3月17日竣工 |
| はまぎり | DD−155 昭和60年度計画 日立造船舞鶴工場 平成2年1月31日竣工 |
| せとぎり | DD−156 昭和60年度計画 住友重工浦賀工場 平成2年2月14日竣工 |
| さわぎり | DD−157 昭和60年度計画 三菱重工長崎造船所 平成2年3月6日竣工 |
| うみぎり | DD−158 昭和61年度計画 石川島播磨重工 平成3年3月12日竣工 |
基準排水量
1〜4番艦 3.500t
5〜8番艦 3.550t
満載排水量
1〜4番艦 4.900t
5〜8番艦 4.950t
全長 137.0m
幅 14.6m
深さ 8.8m
喫水
1〜4番艦 4.4m
5〜8番艦 4.5m
主機/軸数 ガスタービン4基COGAG(搭載主機:川崎ロールスロイス・スペイSM1A)/2軸
出力 54.000馬力
速力 30ノット
兵装
76ミリ単装砲1基、20mmCIWS2基、ハープーン対艦ミサイル4連装発射筒2基、シー・スパロー8連装発射機1基、
アスロック8連装発射機1基、3連装短魚雷発射管2基
搭載機 哨戒ヘリコプター1機
乗員 220名
海鷲の末裔