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(写真上)木更津港で撮影した「やまゆき」
(写真左)呉基地で撮影した「せとゆき」。平成24年3月14日付けで練習艦に種別変更された
※フォークランド紛争で露呈したアルミ合金の弱点
海上自衛隊が88艦隊の基本構成艦として整備を続けていた護衛艦「はつゆき」型では比較的コンパクトな船体に多くの兵装などを搭載した為にトップ・ヘビーの
傾向がみられた。
その為、重量軽減対策として艦橋構造物やマスト、煙突など上部構造物の多くの部分にアルミ合金が使用されていた。昭和57年(1982年)に勃発
したフォークランド紛争で同じくアルミ合金を多用していたイギリス海軍の艦艇が被弾で発生した火災により生じた高温でアルミ合金の
強度が著しく劣化してしまい艦に致命的損害を与えるという深刻な事態が起きた。1970年代に建造された多くの艦艇は「はつゆき」型と同様の理由で
上部構造物にアルミ合金を使用しておりフォークランド紛争の戦訓は世界各国の海軍に衝撃を与えた。実はフォークランド紛争の7年前の
1975年11月、アメリカ海軍の空母「J.F.ケネディ」とミサイル巡洋艦「ベルナップ」が衝突し「ベルナップ」の上部構造物が大破する事故が起きていた。
「ベルナップ」は上部構造物をアルミ合金で造られており被害拡大の大きな原因となった。
この時点でアルミ合金の問題点を指摘する専門家も多かったが昭和52年度予算で建造された「はつゆき」や「いしかり」は上部構造物にアルミ合金が使用された。
結果から言えば「ベルナップ」事故の教訓をもっと早期に真剣に議論するべきであったと思う(アルミ合金の弱点は分かっていたが予算縮小の煽りを受け艦型を
縮小せざるを得ず、重量軽減の為に仕方なく採用したという話もある)。
なお、海上自衛隊でも「はつゆき」型昭和56年度計画艦以降は抗甚性を向上させる為に設計を改めてアルミ合金に換えて上部構造物を鋼製としそれに伴い排水量も
100t増加する事となった。なお、56年度計画以降の艦も兵装や主機などは前期建造艦と同じで外観上の変化もほとんどない。続いて建造された「あさぎり」型以降、
海自護衛艦の上部構造物は全て鋼製となった。
(写真左)
平成24年度遠航に参加した「まつゆき」
後期建造艦は外観上は前期建造艦とほとんど変わりない。


(写真左/下)「やまゆき」以降の後期建造艦は上部構造物が鋼製となっている。
材質変更に伴う重量増によるトップヘビー対策としてバラストを搭載している。
昨今の護衛艦減勢に対処する為に「はつゆき」型の一部や「あさぎり」型に対する延命対策が予定されている。
平成22年度予算で昭和56年度計画艦「やまゆき」の延命工事が試験的に行われており23年度では「せとゆき」に対する延命予算が要求されている。「はつゆき」型
のうち延命対策が行われるのは上部構造物を鋼製とした「やまゆき」以降の艦になる。なお、改造範囲は延命に限られ兵器の換装など性能向上は行われない
らしい。今後、防衛予算が削減されれば新型護衛艦の建造は縮小される可能性が高く旧型艦の延命は必然となろう。
※「はつゆき」型は3隻が練習艦に種別変更された
「はつゆき」型では「しまゆき」、「しらゆき」、「せとゆき」の3隻が種別変更されている。
| やまゆき | DD−129 | 昭和56年度計画 日立造船舞鶴工場 | 昭和60年12月3日竣工 | |
|---|---|---|---|---|
| まつゆき | DD−130 | 昭和56年度計画 石川播磨重工東京工場 | 昭和61年3月19日竣工 | |
| せとゆき | DD−131 | 昭和57年度計画 三井造船玉野事業所 | 昭和61年12月11日竣工 | 平成24年3月14日に練習艦に種別変更 |
| あさゆき | DD−132 | 昭和57年度計画 住友重工浦賀工場 | 昭和62年2月20日竣工 | |
| しまゆき | DD−133 | 昭和57年度計画 三菱重工長崎造船所 | 昭和62年2月17日竣工 | 平成11年3月18日に練習艦に種別変更 |
基準排水量 3.050t
満載排水量 4.200t
全長 130.0m
幅 13.6m
深さ 8.5m
喫水 4.4m
長船首楼型
主機/軸数 COGOGガスタービン4基(搭載主機:川崎ロールスロイス・タインRM1C巡航用2基、オリンパスTM3B高速用2基)
/2軸
出力 45.000馬力
速力 30ノット
兵装
76mm単装砲1基、20mmCIWS2基、ハープーン対艦ミサイル4連装発射筒2基、シー・スパロー短SAM8連装発射機1基、アスロック
8連装発射機1基、3連装短魚雷発射管2基
乗員 200名/p>
海鷲の末裔