護衛艦「むらさめ」型@
DD MURASAME class No.1

(写真上)東京城南島で撮影した7番艦の「いかづち」、艦名は海自護衛艦としては二代目にあたる。

垂直ミサイル発射装置VLSや限定的ステルス性を有する新世代の護衛艦

「はつゆき」型、「あまぎり」型に次ぐ海自護衛艦隊の基本構成艦として建造されたのが「むらさめ」型である。
オール・ガスタービン主機、対空・対艦・対潜にバランスの取れた兵装など前2クラスの基本的な設計コンセプトは受け継いでいるが 垂直ミサイル発射装置VLSの採用や大幅な省略化など新世代の護衛艦と呼ぶに相応しいクラスであり海自建艦史上に残る艦でもある。 特に船体やアイランド構造物にテーパーをかけたり直線デザインを取り入れるなどステルス性を重視した外観は「はつゆき」や「あまぎり」 とは世代が異なる護衛艦である事を実感させる。

※イギリス海軍23型フリゲイトに匹敵する90年代型水上戦闘艦艇

1990年代に建造された水上戦闘艦艇として評価した場合、ステルス性に関してはアメリカ海軍のイージス艦 「アーレイ・バーク」級には及ばないがイギリス海軍の23型フリゲイトと同クラスと言える。 「むらさめ」型が搭載する戦術情報処理装置はOYQ−9で射撃指揮装置FCS−2型31Bを介して短SAMシー・スパロー と76mm速射砲を管制する。垂直ミサイル発射装置VLSは海自艦艇としてはイージス艦「こんごう」型に次いでの搭載である。「 むらさめ」型のVLSは短SAM用とアスロック用の2タイプが搭載されている。2番直前には短SAM用のMk48が、艦橋前には アスロック用のMk41がそれぞれ装備されている。

※平成16年度より搭載短SAMを発展型シー・スパローESSMに換装する改良を行った

「むらさめ」型では対空戦闘能力向上の為、平成16年度から搭載短SAMを竣工時のシー・スパローから発展型シー・スパローESSMに換装する改良を 行っており平成22年度で全艦換装を終了している。

(写真右)艦首方向から見た「はるさめ」
満載排水量が6.000tを超えた本クラスには76mm砲は小さく見える。対水上/対地射撃能力強化の観点から次の「たかなみ」型では 127mm砲に換装される事になった。

「むらさめ」、「いなづま」及び「はるさめ」の艦橋付近

「むらさめ」

(写真左)「むらさめ」艦橋
ソマリア沖海賊対処任務の為、防弾板が装着されている
また、ウイングには長距離音響発生装置LRADが見える。同型の装置が南極海での調査捕鯨で使用された。

長距離音響発生装置LRAD

艦橋上に装備されている射撃指揮装置FCS−2型31B
前部マスト両脇に装備されているのは電子戦装置NOLQ−3

NOLQ系は電波探知ESM、電波妨害ECMの両機能を統合した電子戦装置。「むらさめ」型や「たかなみ」型などに装備されている。

「いなづま」

(写真上)横須賀基地吉倉で撮影した5番艦「いなづま」

76mm砲と艦橋構造物の間にはMk41が装備。

(写真左)「いなづま」艦橋右ウイング
チャフ発射機の後方には衛生通信装置スーパーバードB及び12.7mm機銃用の銃架が装備されている。

「はるさめ」

(写真上左)「はるさめ」の艦橋
01甲板上には20mmCIWSが搭載されており両舷への射撃が可能。メインマスト下部には3次元レーダーOPS−24Bが装備
(写真上右)前甲板には76mm62口径単装速射砲が装備されている。イタリアのOTOメララ社(現:OTOブレダ社)が開発した小型軽量の高性能艦砲で 多くの西側海軍で採用されている。我が国では日本製鋼所でライセンス生産されている。

OTOブレダ76mm砲の射撃風景

「むらさめ」型のミサイル兵装

(写真左)艦橋直前に装備された垂直ミサイル発射装置VLS
これはアスロック用のMk41、本クラスでは艦体内にすっきり収まっている。

(写真左)艦中央部に装備された90式艦対艦誘導弾発射筒
90式は射程100km以上、慣性誘導とアクティブ・レーダー・ホーミングを併用した対艦ミサイル。 80式空対艦誘導弾を元祖とする国産対艦ミサイルのファミリーで88式地対艦誘導弾を艦載化したもの。護衛艦では「むらさめ」型が初の搭載となった。

(写真右)1,2番煙突中央部に装備された垂直ミサイル搭載装置VLS
こちらは短SAM用Mk48でセル数は16。なお、海自艦艇でMk48を装備しているのは「むらさめ」型のみで次の「たかなみ」型ではMk41に 集約されている。搭載ミサイルは竣工時はシー・スパローであったが、今日では全艦がより高性能の発展型シー・スパローESSMに換装されている。

艦中央部から艦尾にかけて

(写真右)7番艦「いかづち」
「むらさめ」型はステルス性を重視した設計で船体やアイランド構造物にはテーパーがかけられている。 煙突も直線デザインになっている。「はつゆき」型や「あまぎり」型と比べて激烈な時代の変化を感じさせる点である。

(写真右)「いかづち」と「むらさめ」艦尾付近
同型艦でも細部には差異が見られる。 7番艦「いかづち」の艦尾には丸型をした曳航具4型(対魚雷デコイ)の繰り出し口が見えるがネームシップの「むらさめ」には見えない。

※限定的ステルス性を考慮したと言われるラティス・マスト、他国にもあまり例がない異なるメーカーのガスタービンを併用搭載

「むらさめ」型は船体や上部構造物にはステルス設計を取り入れたがマストは在来型の構造となっている。しかし、支柱の角度や材質、塗料などは ある程度のステルス性を意識されたものだと言われている。 「むらさめ」型の大きな特徴の一つが徹底した省略化、省人化である。乗員数は約165名で「あまぎり」型より50名あまりも少なく なった。これにより全ベットの2段化が実現し居住性も向上している。
本艦型の主機はCOGAG方式のガスタービンであるがジェネラル・エレクトリック社製LM2500とロールス・ロイス製SM1Cを 2基ずつ搭載している。開発メーカーが異なる主機を搭載する例は他国でもあまり見られない。

ヘリコプター艤装関係

(写真上左)「むらさめ」型のヘリコプター格納庫はSH−60系なら2機格納出来るスペースがある。 しかし、移送用レールは1本のみ

(写真上右)ヘリコプター発着艦指揮所

本クラスの改良型として「たかなみ」型が建造された

「むらさめ」型は9隻建造されたが主砲を127mm砲に換装しVLSをMk41に集約させるなどの改造を行った改良型の「たかなみ」 型も5隻建造された。しかし、この2クラスは事実上同一の艦型であり欧米風に言えばフライトT、フライトU或いはバッチ1、バッチ2と言う感じであろう。

むらさめ DD−101 平成3年度計画 石川播磨重工東京工場 平成8年3月12日竣工
はるさめ DD−102 平成4年度計画 三井玉野事業所       平成9年3月24日竣工
ゆうだち DD−103 平成6年度計画 住友重工浦賀造船所  平成11年3月4日竣工
きりさめ DD−104 平成6年度計画 三菱重工長崎造船所  平成11年3月18日竣工
いなづま DD−105 平成7年度計画 三菱重工長崎造船所  平成12年3月15日竣
さみだれ DD−106 平成7年度計画 石川島播磨重工東京工場 平成12年3月21日竣工
いかづち DD−107 平成8年度計画 日立舞鶴造船所       平成13年3月14日竣工
あけぼの DD−108 平成9年度計画 石川島播磨重工    平成14年3月19日竣工
ありあけ DD−109 平成9年度計画 三菱重工長崎造船所  平成14年3月6日竣工

基準排水量 4.550t
満載排水量 6.200t
全長 151.0m
幅 17.4m
深さ 10.9m
喫水 5.2m
遮浪平甲板型
主機/軸数 ガスタービン4基(搭載主機:LM2500、SM1C)/2軸
出力 60.000馬力
速力 30ノット
兵装
 76mm単装砲1基、20mmCIWS2基、90式対艦ミサイル4連装発射筒2基、Mk48VLS(16セル)、 Mk41VLS(16セル)、3連装短魚雷発射管2基
搭載機 SH−60J/K 1機
乗員 165名

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海鷲の末裔

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