

アメリカで空からの同時多目標の攻撃に対処する為の先進水上ミサイルの開発は1964年からRCA社を主契約企業としてスタートし
1969年には正式にイージス・システムと命名され1975年には試験艦AVM−1「ノーザン・サウンド」にSPY−1レーダーなどを搭載
した海上でのテストも開始された。
一方、イージス・システムを搭載する艦艇の選定も大きな課題であった。当初、アメリカ海軍はCGN−42級と呼ばれる大型の原子力打撃
巡洋艦を建造しこれにイージス・システムを搭載する構想を持っていた。
しかし、この原子力打撃巡洋艦は建造コストが莫大であり計画は断念された。幾つかの案の中からアメリカ海軍が最終的に選考したのが「スプルーアンス」
級駆逐艦の船体をベースにした案であった。「スプルーアンス」級駆逐艦は十分な将来装備のスペースを持っており、また艦艇のファミリー化という観点
からもイージス・システムのプラット・フォームとして歓迎する声が多かった。
しかし、イージス・システムはSPY−1レーダーをはじめ多くの搭載スペースを必要とし竣工後の「タイコンデロガ」級はトップ・ヘビーが指摘され
重量軽減などの復元性対策を行う事になった。「スプルーアンス」級をベースとしたイージス艦の1号艦はミサイル駆逐艦DDG−47として1978会計年度で建造が認められたが、建造途中で
駆逐艦からミサイル巡洋艦に格上げされ艦番号もCG−47に変更された。1号艦は1983年1月に就役し「タイコンデロガ」と命名された。
「タイコンデロガ」級は1994年7月までに合計27隻建造されたがミサイル発射装置や重量軽減対策、イージス・システムの型式などにより 幾つかのバリエーションに分かれる。
※艦型で分類すると以下の3種になる。
(1)原型 1〜2番艦 ミサイル発射装置はMk26連装発射機
(2)重量軽減型 3〜5番艦 マストが軽量三脚タイプに変更 アイランドの一部小型化 ミサイル発射装置はMk26連装発射装置
(3)垂直ミサイル発射装置VLS搭載型 6〜27番艦
※イージス・システムの型式によりベース・ライン0,1,2,3,4,5,6,7に分類される。
「カウンペンス」の艦首
ブルワークが顕著だ。
「カウペンス」の前部127mm単装砲Mk45Mod2
「シャイロー」の艦橋右舷付近
艦橋側面にはフェーズド・アレイ・レーダーSPY−1Bが装備されている。
艦橋上にはイルミネーター用のSPG−62が2基装備。前部煙突付近には20mmCIWS、電子戦装置SLQ−32(V)3が装備
されている
※ベース・ライン0〜2までの艦が装備しているフェーズド・アレイ・レーダーは初期型のSPY−1Aであるがベース・ライン3以降の
艦は改良型のSPY−1Bを装備している。
「シャイロー」のヘリコプター格納庫付近
本クラスはSH−60系ヘリを2機搭載出来る。
格納庫上の構造物にはSPY−1Bが装備されている。
「タイコンデロガ」級が搭載する対空ミサイルはスタンダートSM−2だがMD(ミサイル防衛構想)能力を持った艦はスタンダートSM−3
を搭載する。アメリカ海軍(もちろん世界でも)最初にMD能力を持ったのは「タイコンデロガ」級の21番艦CG−67「シャイロー」であった。
なお、垂直ミサイル発射装置VLSを持たない1〜5番艦は既に退役している。
「シャイロー」のヘリコプター甲板
駐機しているのは対潜ヘリSH−60B「シー・ホーク」
「カウペンス」の艦尾付近
「ハープーン」対艦ミサイル発射筒と後部127mm砲が見える。
「シャイロー」の後部垂直ミサイル発射装置Mk41VLS
「シャイロー」の25mm機銃Mk38
アメリカ海軍のイージス艦は数量的には「アーレイ・バーク」級が中核になっているが、大きなキャパシティを持つ「タイコンデロガ」級 はミサイル防衛MDや艦隊直衛と幅広く活躍し装備も電子戦能力を中心に逐次、更新が行われている。

(写真上)米海軍横須賀基地で撮影したCG−67「シャイロー」
本艦は史上初めてミサイル防衛能力MDを装備した艦艇である。
| タイコンデロガ | CG−47 1983年1月竣工 2004年9月退役 |
|---|---|
| ヨークタウン | CG−48 1984年7月竣工 2004年12月退役 |
| ヴィンセンズ | CG−49 1985年7月竣工 2005年6月退役 |
| ヴァリ・フォージ | CG−50 1986年1月竣工 2004年8月退役 |
| トーマスS.ゲイツ | CG−51 1987年8月竣工 2005年12月退役 |
| バンカー・ヒル | CG−52 1986年9月竣工 |
| モービル・ベイ | CG−53 1987年2月竣工 |
| アンティータム | CG−54 1987年6月竣工 |
| レイテ・ガルフ | CG−55 1987年9月竣工 |
| サン・ジャシント | CG−56 1988年1月竣工 |
| レイク・シャンプレーン | CG−57 1988年8月竣工 |
| フィリピン・シー | CG−58 1989年3月竣工 |
| プリンストン | CG−59 1989年2月竣工 |
| ノルマンディー | CG−60 1989年12月竣工 |
| モントレイ | CG−61 1990年6月竣工 |
| チャンセラーズヴィル | CG−62 1989年11月竣工 |
| カウペンス | CG−63 1991年3月竣工 |
| ケディスバーグ | CG−64 1991年6月竣工 |
| チョーシン | CG−65 1991年1月竣工 |
| ヒュー・シティー | CG−66 1991年9月竣工 |
| シャイロー | CG−67 1992年7月竣工 |
| アンツィオ | CG−68 1992年5月竣工 |
| ヴィクスバーグ | CG−69 1992年11月竣工 |
| レイク・エリー | CG−70 1993年7月竣工 |
| ケープ・セント・ジョージ | CG−71 1993年6月竣工 |
| ヴェラ・ガルフ | CG−72 1993年9月竣工 |
| ポート・ロイアル | CG−73 1994年7月竣工 |
満載排水量9.957t
全長172.8m
幅16.8m
喫水9.5m(ソナー・ドーム部)
主機/軸数:COGAG(ガスタービン4基)/2軸
出力:86.000馬力
速力30ノット
兵装
・垂直ミサイル発射装置VLS2基(122セル)、ハープーン対艦ミサイル4連装発射筒2基、127mm単装砲2基、20mmCIWS2基
25mm単装機銃2基、324mm3連装短魚雷発射管2基
搭載機SH−60Bヘリコプター 2機搭載
乗員358名