中型輸送機 C−1@
KAWASAKI C−1 No.1

木更津駐屯地で撮影した量産29号機(18-1031)。この機体はC−1最終生産機である。

開発当時の政治制約に翻弄された国産初のジェット輸送機

中型輸送機C−1は戦後初めて国産開発された航空自衛隊の双発ジェット輸送機である。
草創期の空自にはアメリカ空軍からカーチスC−46「天馬」が供与されていたが既に旧式化した第二次大戦型の輸送機であり 時代の趨勢から大きく立ち遅れていた事は誰の眼にも明白であった。しかし、昭和30年代の空自の整備方針は戦闘機、練習機が 優先されており輸送機にまではとても手が廻らないのが実情であった。C−46の後継となる国産の次期中型輸送機 C−Xの開発がスタートしたのは戦闘機や練習機の整備が一息ついた昭和41年(1966年)の事であった。

C−Xには以下の様な基本要求が盛り込まれた。

@1.200m級滑走路で運用出来るSTOL性能
A標準ペイロード約8t
B人員輸送能力
・通常60名
・空挺隊員45名
・担架36床
C車両搭載能力
・2・1/2tトラックが自走乗り入れ可能
・ジープ3両の搭載が可能
Dパレット化貨物の輸送
E3/4tトラックの空中投下が可能

C−Xの開発・設計は技術研究本部と日本航空機製造が行ったが製作には川崎重工、三菱重工、石川島播磨重工などが参加した。日本航空機 製造は生産は断念した為に実際の主契約者は川崎重工が担当する事になった。昭和42年9月には基本設計が終了し 昭和45年11月12日には試作1号機が初飛行に成功した。昭和48年12月には第402飛行隊への 部隊配備が開始された。C−1は試作機2機と量産型29機の計31機が生産されている。

C−1の技術的特長

C−1には1.200m級滑走路で運用出来るSTOL性能と米軍式のパレット・ローディング・システムを採用した二つの大きな 技術的特長がある。
C−1は前線での不整地で短い滑走路での運用を考慮した戦術輸送機であり極力構造が簡単で故障が少ない実戦的なSTOL技術の採用が 求められた。C−1に取り入れられたのは後退角20°の主翼の前縁にスラット、後縁に4マルチ・スロッテド・フラップを組み合わせた 高揚力装置を装備する事であった。これによってC−1は900m程度で離着陸が可能となったがこのSTOL性はアメリカ空軍からも 注目されるほどのものであった。
パレット・ローディング・システムは貨物や車両をパレット上に積載し後部貨物扉から効率よく短時間で積み下ろしを行えるシステム である。これにより物資の空中投下も可能になっている。因みに空自で採用している空中投下方式にはPDS(抽出傘方式)とCDS (重力投下方式)の2方式がある。エンジンはP&W製のターボファン・エンジンJT8D−9を三菱重工でライセンス生産したものを搭載。 自衛隊ではC−1がターボファン・エンジンを採用した初の機体であるがJT8D−9は旅客機B727やDC−9で装備されるなど十分な 実績があり無難な選択であった。

(写真左)C−1の主翼部
C−1の高いSTOL性能を支えるのが4重マルチ・スロッテド・フラップと前縁スラットを組み合わせた高揚力 装置である。フラップは翼幅の7割を占め前縁スラットは主翼全幅に及ぶ。翼端はD型構造。スポイラは左右に4枚ずつ計8枚が装着されている。 外側3枚ずつがフライト・スポイラ、内側の1枚ずつがグラウンド・スポイラ。

(写真左)ターボファン・エンジンJT8D−9

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C−1開発時の政治的制約

C−1が開発されていた昭和40年代、日本は専守防衛構想を厳守しており自衛隊の海外派遣など想像も出来ない時代であった。
C−1もペイロードや航続距離で大きな政治的制約が課せられていた。今日の視点では軍事オンチとしか言えないような事態だが他にも戦闘機F−4から空中給油装置を 撤去するなど自分の首を絞めるような愚策が行われていたのだ。例え専守防衛であっても輸送機の航続距離やペイロードは大きい事に越した事はない のだが。その事実を国民に率直に話せる政治家や防衛官僚は当時の日本にはいなかった。ところでロッキード社が開発した傑作輸送機でアメリカ軍をはじめ世界中 で採用されたC−130「ハーキュリーズ」はペイロード約20tを搭載して 航続距離約4.000kmを飛行出来たのだがC−1はペイロード約8tで航続距離約1.500kmにすぎなかったのである。C−1の能力不足は当初から指摘されて いたが沖縄や硫黄島への空輸が本格化すると問題は深刻に受け止められるようになった。後期生産型5機は主翼中央部に燃料タンクを増設するなどの改造を行ったが 根本的な解決には至らず 後にC−1を補完する目的でC−130Hの導入が行われた。なお、前期生産型も燃料タンクを増設している。C−1は試作機を含め38機の生産が予定 されていたがC−130Hの導入により31機で生産を終了した。C−1は卓越したSTOL性など飛行性能は優秀であったが政治的制約に翻弄 された機体でもあった。今後は新型輸送機C−2と交代して逐次用廃となる。

(写真左)主翼前部に見える凸型が増設燃料タンク
C−1の胴体は円形断面で左右に大きく張り出したバルジ内に主脚が収容される。主脚は4輪ボギー。 前脚扉内には滑走灯が装備されている。

(写真左)
C−1の後部貨物扉はペタル扉、ランプ扉、耐圧扉の3つから構成される。貨物室内は全長10.8m、床幅2.7m、 有効高さ2.55mでジープなら3両搭載可能。

開発担当会社:日本航空機製造
製作
・機体 川崎重工(外翼等、富士重工、日本飛行機)
・エンジン 三菱重工
・積載装置 新明和工業
全幅 30.6m
全長 29.0m
全高 9.99m
運用重量 24t
最大離陸重量 45t
エンジン ターボファン2基(搭載エンジン:JT8D−M−9)
推力 6.550s×2
最大速度 0.76マッハ
巡航速度 0.65マッハ
標準ペイロード 約8t
航続距離 約1.500km(ペイロード8t時)
乗員 5名
便乗者
・通常 60名
・空挺隊員 45名

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海鷲の末裔

C-1輸送機 航空自衛隊創立50周年記念塗装バージョン(1/300)

C-1輸送機 航空自衛隊創立50周年記念塗装バージョン(1/300)