
(写真左)艦首方向から見た「わかさ」
現代の海戦の主力は潜水艦と言っても差し支えない。原子力潜水艦はもちろん、ディーゼル推進の通常型潜水艦も飛躍的に性能を向上させている。
潜水艦と並ぶ現代海軍の主力は空母と艦載機であるが、第二次大戦後は空母に関する限り米海軍の独断場であり旧ソ連や中国を中心とした共産陣営の
国々は空母を主体にした米海軍に対抗する為、多数の潜水艦を建造し配備して来た。
対潜水艦作戦(ASW)では水上艦艇や航空機、各種の対潜兵器などの正面装備が重要である事は言うまでもないが、それら正面装備の能力を最大限活用
する為にも平時から細評かつ膨大な海洋データ(海底地形、潮流、水温、塩分濃度、地磁気、音響特性等)を収集し分析する事が極めて重要である。
いくら多額の予算を投入しハイテクな正面装備を揃えても効率的な海洋データが無ければ有効な対潜作戦は実施する事が出来ない。
世界の先進海軍国は対潜作戦の為の海洋データを収集・分析する為に多数の海洋観測艦を建造しているが、日本でもこの艦種の重要性が認められ
昭和42年度計画で海上自衛隊初の海洋観測艦「あかし」が建造され昭和44年10月に竣工した。
海自では更に海洋観測データ収集能力を高めるために「あかし」に次ぐ第二世代の海洋観測艦の建造に着手した。これが「ふたみ」型である。
「ふたみ」型は昭和51年度予算で1番艦「ふたみ」、58年度予算で2番艦の「わかさ」が建造された。「ふたみ」型は「あかし」より大幅
に能力を向上させている。このクラスの外観上の特徴は「あかし」には装備されていなかった、艦首の音響観測機材揚降用のバウ・シーブと
ガントリー・クレーンが装備されている点である。

(写真上左)艦橋直前の舷側に見える棒状のものはブイ作業時に艦体を守る防舷材。(写真上右)「わかさ」左舷中央部に搭載されている艦載艇。 艦首側は7.9m型内火艇、艦尾側は11m型作業艇。
観測作業時の艦位保持の為の減揺タンクとバウ・スラスターも装備、観測時の長時間低速航行を行うための可変ピッチプロペラも装備している。 精密艦位測定装置としてはロランCを有している。船体中央部付近に2基のケーブル・タンクがあり右舷中央部から艦尾にかけては観測作業甲板が、 左舷中央部には搭載艇の格納スペースが設けられている。なお、ケーブルを搭載しない軽荷状態でも復元性を確保する為のバラスト・タンクを4基設けている。 1番艦の「ふたみ」と2番艦「わかさ」では建造時期に開きがある為に「わかさ」では各部に改正が行われ主機も異なる種類のものを 搭載している。なお、ネームシップの「ふたみ」は平成22年3月17日、除籍された。
| ふたみ | AGS−5102 昭和51年度計画 三菱下関 昭和54年2月27日竣工 平成22年3月17日除籍 |
|---|---|
| わかさ | AGS−5104 昭和58年度計画 日立舞鶴 昭和61年2月25日竣工 海洋業務群直轄 |
基準排水量 2.050t
満載排水量 3.200t
全長 97.0m
幅 15.0m
深さ 7.6m
喫水 (「ふたみ」4.3m、「わかさ」4.2m)
主機/軸数 ディーゼル(搭載主機:「ふたみ」川崎MANV8V22/30ATL、「わかさ」富士8L27.5XF)/2軸
出力 (「ふたみ」4.400馬力、「わかさ」4.500馬力)
速力 16ノット
乗員 (「ふたみ」95名、「わかさ」105名)