A/OA−10「サンダーボルトU」
Fairchild A/OA−10 ThunderboltU

A−10「サンダーボルトU」はベトナム戦争の教訓からアメリカ空軍とフェアチャイルド社が開発した近接航空支援CASを 主任務とした攻撃機である。ベトナム戦争でアメリカ軍は圧倒的な航空優勢を確保し作戦を展開したが、当時のアメリカ空軍の主力戦闘機、 攻撃機は高速のジェット機が主流であった。 しかし、ベトナムでの実戦の結果から敵の地上目標を攻撃するには高速性能よりむしろ低速飛行時の安定性に優れ強靭な防御力や豊富 な兵装搭載能力を持つ機体こそが必要性であると認識されたのである。
この様な状況を背景にベトナム戦争がまだ続いていた1967年3月にアメリカ空軍は各航空機メーカーに次期攻撃機A−Xの基本要求書を提示した。 アメリカ空軍がA−Xに求めた性能や基本的な構想は

@30mmガトリング式機関砲の搭載
A燃料満載時において5.443sの兵装搭載量
B長大な航続距離、長い滞空時間
C優れた低空性能
D短距離での離着陸性能
E強靭な防御力
F前線での保守・整備・点検などの容易性
G機体価格を極力低減する

※対地攻撃に専念する重火力・重装甲の特異な攻撃機A−10

次期攻撃機A−Xは味方戦闘機が絶対的航空優勢を確保した状況の中で地上攻撃に専念するという構想なので敵戦闘機と の空中戦を行う事はほとんど考慮されず、前線での稼働率を少しでも高める為に高度な電子戦装置などは不要とされた。
各メーカー案の中からフェアチャイルドとノースロップが試作機契約を受けたが1973年1月にフェアチャイルド案が正式に採用される 事となった。 A−10はその任務から高速性能は求められなかったが、十分な兵装搭載力と強靭な防御力が要求された。主翼は高速を出すには不利だが 多数の兵装を搭載し短距離離着陸を可能とする厚みのある直線翼を採用。ハードポイントは主翼と胴体に11箇所もある。
また、被弾しても任務を続行し生還する高い生存性を実現する為に最大の努力が払われている。 パイロットを守る為にコクピットには23mm機関砲弾にも耐えるチタニウム装甲が装備され、その他機体各部の重要箇所も装甲化され 装甲板の占める重量は機体自重の約14パーセントに達している。A−10の外観上の大きな特徴である胴体に背負い式に広めの間隔で 配置された2基のエンジンも少しでも被弾の可能性を減少させる為の配慮である。

(写真左)横田基地で撮影したA−10

(写真左)A−10は強靭な防御力を誇る。
コクピット周囲、燃料タンク、機関砲弾倉も装甲化されている。

A−10は「味方が航空優性を確保している事を条件とした地上攻撃専用機」という性格の軍用機である。
したがって敵戦闘機の攻撃を受ける可能性がある状況下では、その存在価値が大きく低下してしまう。このA−10の基本的性格が 80年代に大きな問題となり度々「A−10不要論」が論議されていた。実際のところ「常に味方が航空優性を確保出来る」のは世界で 唯一アメリカ軍だけであると言って差し支えなかった。A−10はアメリカ製航空機には珍しく他国には全く輸出される事もなかった。 陸軍が急速に配備を進めていた攻撃ヘリコプターとの任務の重複性も指摘されていた。
そうした中で1991年1月に勃発した湾岸戦争はA−10の高い実戦能力を証明する結果となった。
長大な航続力を生かし、十分な搭載兵装で多数のイラク軍戦車や陣地などを破壊、被弾しても基地に生還出来る事が多くA−10の 能力は再評価される事となる。
試作機を含め1984年までに715機が生産され約半数が現役にある。機体は逐次改良され当初はあまり重要視されていなかった 電子戦関係の装置も近代化されている。一部の機体は前線航空管制FACとして使用されるO/A−10Aに名称変更されたが 基本的にはA−10と同じ機体のままである。

(写真左)機首にはGAU−8/A 30mmガトリング砲を固定装備

(写真左)エンジンはジェネラル・エレクトリック社製のターボ・ファンTF34−GE100を2基装備。

全幅17.53m
全長16.26m
全高4.47m
運用重量11.321s
最大離陸重量22.68s
エンジン:ターボ・ファン×2(TF34−GE100)
固定武装
・GAU−8/A 30mmガトリング機関砲(携行弾数1.350発)
機外兵装搭載量
・6.505s(標準)
最高速度706km/h
巡航速度560km/h
戦闘行動半径540nm
乗員1名

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