89式5.56mm小銃
TYPE89 ASSAULT RIFLE

(写真上)第28普通科連隊の隊員が携行する89式5.56mm小銃(固定銃床式)

64式7.62mm小銃の後継として国産開発された戦後第2世代の89式5.56mm小銃

89式5.56mm小銃は64式7.62mm小銃の後継として国産開発された戦後第2世代の自動小銃である。
ベトナム戦争中にアメリカ軍が実戦投入した5.56mm×45弾を使用するM16/M16A1は射程は短いものの反動が少なく 多数の弾薬を携行出来る小口径自動小銃として高い評価を得て以後の各国の軍用ライフルの開発に絶大な影響を与えた。軽量で未熟な 兵士でも容易に操作出来る小口径小銃のメリットは計り知れなかった。また、ジャングルでのゲリラ戦の他、歩兵がヘリコプターや装甲車 に搭乗し移動するのが常識となった現代戦の様相が小型軽量な小口径小銃の需要を後押しする結果にもなった。
ところでM16系がアメリカ軍の標準小銃として本格的導入が開始された時期、日本では64式の開発が終了して本格的な量産・部隊配備 が開始されていた頃であり直ちに小口径小銃の開発が進められる機運は少なかった。

※豊和工業がライセンス生産したアーマーライト製AR18が89式開発に大きな影響を与えた

日本での小口径小銃の研究・開発は64式を製作 している豊和工業の自主研究という形で昭和41年(1966年)にスタートした。なお、豊和工業では昭和42年より 米アーマーライト社のAR18(セミ・オート・タイプのAR180を含む)のライセンス生産を開始している。豊和工業製AR18はアメリカの民間市場や タイ警察向けに輸出されたが豊和工業での小口径小銃の研究・開発にAR18の技術的特長が大きな影響を与えた事は想像に難くない。昭和53年から 昭和55年にかけてHR10とHR11の2種の試作銃を完成させたが機関部にプレス加工を取り入れるなど各部に AR18の影響が感じられる設計である。89式小銃の元祖がAR18という認識は正しいであろう。
1980年頃には小銃の小口径化の世界的な流れは決定的となっておりそれまで豊和工業の自主研究・開発から防衛庁の本格開発に 格上げされる事になった。各種の試験を経て昭和60年にはHR12、昭和62年には最終試験型HR15が作られ 平成元年(1989年)に89式5.56mm小銃として制式化された。陸上自衛隊の他、海・空自衛隊、警察、海上保安庁に幅広く配備されている。

(写真左)左側セレクター・レバーを持つ89式小銃

(写真左)標準型の右側セレクター・レバー
銃口先端には消炎制退器(フラッシュハイダー/リコイルレデュサー)が装着されている。

89式の作動方式は一般的なガス圧利用式。
機関部にスチール版のプレス加工を採用するなど構造の簡略化に務めており64式に比べて部品数は約1割減少している。重量も 64式に比べて900s軽量化されている。 セレクターは単発、連発、3発バーストの3段階に切り替え可能。89式のセレクター・レバーは他国の標準と異なり右側にある。 これは暴発防止を重視した日本独自の「右側レバー・右手人差し指操作」の思想によるものだが最近の生産型では左側に セレクター・レバーがあるものも見受けられる。
64式では2脚は固定式であったが89式では着脱式になっている。軽量化、取り回しの容易さという点において着脱式の方が有利であろう。銃床は固定式と折り曲げ式 がある。 使用弾薬は国産開発の89式弾薬であるがNATO規格のSS109弾薬と互換性がある。マガジンもM16系のものを使用可能。 このあたりの互換性の追及は実用面からも評価出来る。

(写真右)第51普通科連隊の隊員が携行する89式5.56mm小銃(固定銃床式)
那覇駐屯地にて撮影

(写真左)射撃姿勢(伏せ射ち)

(写真左)射撃姿勢(肩射ち)

製作:豊和工業

※折り曲げ銃床式
口径5.56mm×45
全長916/670mm
銃身長420mm
重量3,500s
作動方式:ガス圧利用式
給弾方式:弾倉式(装填数30発)
ライフリング6条/右回り
発射速度:約800発/分

※固定銃床式
口径5.56mm×45
全長916mm
銃身長420mm
重量3,500s
作動方式:ガス圧利用式
給弾方式:弾倉式(装填数30発)
ライフリング6条/右回り
発射速度:約800発/分


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