10式戦車 (試作車両)
TYPE10 TANK proto type

軽量小型がコンセプトの陸自第4世代の国産戦車

(写真左)平成23年7月10日、富士学校開設57周年記念行事で走行展示を行う10式戦車(試作車両)
ナンバーから試作1号車と思われる。砲塔右舷側には車長用の全周旋回式サイト、左舷側には砲手用前方固定式サイトを備える

10(ヒトマル)式戦車は61式、74式、90式に次ぐ国産開発された第4代の戦車である。
アメリカやドイツ、ロシアが第3世代戦車を改良して運用を続けているのに対して日本は全くの新型戦車を開発した。但し世界水準で考えれば10式戦車は 第3.5世代に属する戦車で中国の99G式戦車や韓国のK−2戦車と同レベルと言える。当初は90式戦車の改良案もあったようだが 新規開発が採用された。重量が50tの90式は橋梁など社会インフラの現状から北海道以外での運用に制約が多いとされており10式は軽量小型化が図られた。 諸外国の戦車は60〜70t級が主力であり90式ですら軽量級であるが10式は超軽量級戦車だと言える。この点から10式の防御力に関して批判的な意見も 聞かれる。

※外装式モジュール装甲を採用、全備重量は諸説あり

もちろん、戦車にとっては装甲防御力は極めて重要であり10式は脅威の対象により装甲の強度を変更出来る外装式モジュール方式が取り入れられている。 装甲をフルに装備した状態では全備重量は約48t、標準状態で約44t、軽減した状態では約40tと推測される。フル装甲装備状態では90式とほとんど重量が変らず 技術の進歩により防御力は大きく向上しているとの見解もある(重量については諸説あり)。 戦車を含む大規模侵攻を想定した高強度紛争にはフル装甲装備状態を選択しゲリラや特殊部隊との戦いを想定した低強度紛争では軽減装甲状態を 選択する運用であると考えられる。また、取り外し式のモジュール装甲は将来の技術発展に備えバージョンアップも可能となっている。

現代戦争においても戦車の価値は減じていない。安易な戦車無用論には警戒するべきだ。

ところで一部の評論家や有識者の中には対テロ戦が主体となった現代戦争では戦車は無用である、と極論する人々がいる。
果たしてそれは正論なのか・・? しかし、レバノンやイラク、アフガンでの戦場では新型個人携帯用対戦車兵器でイスラエル軍の「メルカバ」やアメリカ軍のM1 「エイブラムス」でさ撃破されている。戦車を全廃していたカナダ軍もアフガンでの戦訓から戦車を再導入した。対ゲリ・コマ戦においても 強力な火力と強靭な防御力を有する戦車の価値はむしろ高まっている、と考えられる。

(写真左)砲安定装置により走行中でも正確な射撃が可能

※現状では44口径戦車砲搭載だが将来に向けて50〜55口径戦車砲の搭載が考慮されているらしい

主砲は国産開発の44口径の120mm滑腔砲を搭載している。
74式、90式は外国製戦車砲をライセンス生産したものを搭載しているので61式戦車以来の 国産砲を搭載した戦車となった。90式のラインメタル44口径120mm砲より威力は格段に強化されている模様。 なお、将来的には50〜55口径砲への換装が予定されているらしい。ただ、市街戦を想定しているドイツ軍の「レオパルド2」PSO は敢えて44口径砲を搭載しているので10式も脅威の対象により砲を選択して搭載する事になるかもしれない。10式戦車は市街地などでの対ゲリ・コマ戦を 主目的とした戦車であるとのイメージが強い。
しかし、戦車の本質は敵戦車の撃破であり10式戦車も モジュール式装甲の採用や50〜55口径砲搭載予定など十分な対策が取られている。

10式戦車は部隊間で情報を共有するデータリンクが装備されるなど情報処理能力が高められている。

富士学校で装備品展示された10式戦車(試作1号車)

(写真左)富士学校で装備品展示された10式戦車。この車両は試作1号車と思われる。
この状態は標準状態(約44t)と推測。ナンバーから平成20年2月に報道陣に公開された車両(試作2号車?)とは異なるものであろう。 車長用キューポラハッチはスライド式が採用されている。

(写真左)10式戦車は外装式モジュール式装甲を採用している。
モジュール式装甲は脅威の対象に応じて強度を変更したり損傷したパーツを交換、或いは新型装甲が開発された折には容易に交換出来るなどの メリットがある。キューポラに装備された12.7mm重機関銃の機銃架はガイドレールに装着されて旋回式となり 機銃の移動が可能となった。

(写真左)後方から見た10式戦車
10式戦車のエンジンは4サイクルV型8気筒水冷ディーゼル(1200馬力)を搭載。セラミックを多用した新世代エンジンで戦後国産戦車用エンジンとしては 61式戦車以来の4サイクルとなった。変速機は油圧機械式無段階自動変速機HMTを採用
砲塔後部には大型のラックを装着している。

ドーザを装着した試作3号車と思われる車両

(写真上)ドーザを装備したこの車両は試作3号車と思われる。
この車両は試作1号車とは異なり車長用キューポラハッチは通常の開閉式

戦車枠が大幅に削減された新防衛計画の大綱により10式戦車の整備はどの様に進捗するのであろうか・・・?

21世紀の今日でも戦車の戦力価値は否定されない。しかし、これまでの北海道重視戦略から中国や北朝鮮を睨んだ西方重視戦略に大きく転換しつつある陸上自衛隊では 戦車などの重火器より沖縄や南西諸島への機動展開能力や対着上陸作戦能力重視に重きが移っている。平成23年度からの新しい防衛計画の大綱では陸自の戦車や 重火器の大幅の削減が予定されている。戦車枠は現状の600両から400両に削減される。新中期防衛力整備計画では10式戦車の調達予定数は68両となっているが 今後の調達にもどの程度の影響が出るのか注視したい。

※平成24年1月10日、量産1号車が納入された

平成24年1月10日、富士学校に量産1号車が納入された。
10式戦車量産1号車納入の模様

製作 三菱重工
全備重量 40〜48t(推測)
全長 9.42m
全幅 3.24m
全高 2.3m
エンジン 水冷4サイクル8気筒ディーゼル
主力 1.200馬力
最大速度 70km/h
武装
・44口径120mm滑腔砲×1
・12.7mm重機関銃×1
・7.62mm機関銃×1
乗員 3名

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海鷲の末裔

陸上自衛隊(I) 腕時計 S455MJGSDF

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