草空間設計

草のたよりから

端材の壁 現場見学会の案内より
 木づくりの家の会の作り手会員の一人・佐藤棟梁の現場にはゴミのカーゴがありません。
現場から出るゴミを限りなくゼロに近づけてしまう、ということを10年かけて達成したのです。

それはそのまま、環境に還る素材のみで住宅が出来上がっているということです。
環境負荷の少ない次世代の住宅になっている、ということです。

 材を丸太で買い付けるところから始め、自分の目で見て判断して賃引きしてもらう。
それを2年寝かせて乾燥させた上で、手刻みの仕事が始まる。
端材に至るまで無駄にしないことでゴミの処理費もなくなってコストも抑えられるのだそうです。

 「製品を買って取り付けるだけなら早いけど、それだと環境にも悪いし、自分の手元に残るお金だって減るよねぇ」と佐藤棟梁は言います。

 もう一つ、私が高く評価しているのが彼のデザインセンスです。
そのあたりの自称「建築家」などは足元にも及ばないレベルです。
そして、この仕事のやり方を選択した「覚悟」です。

 「ぜひ大工さんに見てほしい。そして真似してほしい」と佐藤さんは言います。
デザインセンスは天与の才ですから真似できませんが、仕事のやり方と覚悟は学ぶことができるはずです。
デザインはちゃんとした設計者とタッグを組めばできることですから、あとは「やるか、やらないか」だけです。

 もちろん、もう一つ大きな要素が「施主さんの理解」であることは言うまでもありません。 2017年6月


製材見学会の案内から

柱と梁 柱や梁といった建築で使われる材料はどのようにして作られているのでしょうか。
それを今回は見ていただきたい、と思ってこの企画を考えているときに、ふと
「ひょっとしたら柱や梁というものすら見たことのない人が増えているのではないか」と思いました。

住宅が「買う」ものになってしまってから久しく、
工場生産された部品を組み立てるだけになった現場は工事期間が短く、しかも覆いで隠されてしまって、
施主でさえ立ち入り禁止にしているメーカーが多い。

職人が技を振るっている姿を学校帰りの子どもが目を輝かせて見ていた光景は、
遠い昔のことになってしまいました。

思えば私たちの生活の周りには、あまりにも多くのブラックボックスがあるのではないでしょうか。
そのものがどこから来てどこへ行くのか。
私たちは知らないまま、あたりまえのように「買って」きて「捨てて」います。
森
この機会に、私たちの家を支えている木が山の立木からどのようにして柱や梁となるのか、
その過程を実感してみましょう。
それは私たちの「生活」がどういう位置にあるのかを知る手がかりにもなると思います。
2015年7月


いったいぜんたい、いつから家が3ヶ月や4ヶ月でできるようになってしまったのでしょう。
いつから単なる経済活動になってしまったのでしょう。

かつて家は何年もかけて作るものでした。
キザミ
丸太を選び、製材して自然に乾くのを待ち、あらゆる職種や近所の人まで手伝って
建前をしたらみんなで祝い、荒壁をつけて乾燥を待ち、中塗をしたら未完成のままもう人が住む。
住みながらまた何年もかけて仕上げてゆく。

自然界のリズムの中にあった家は人の暮らしとともにあり、人の暮らしとともに少しずつ老いていきました。
そういう家はまた100年というような単位で長持ちしました。
人の心には今よりも余裕があったような気がします。

同じことが現代でできるとは思いません。
しかしすさんでしまった暮らしと建築と自然の関係を、
もう一度ちゃんとした関係に戻すような家づくりはできるはずです。

むしろ今のような状況だからこそ、そうしなければならないと思います。
2014年12月


プラスチックスープ表紙 住宅とは関係ないようにも思えますが、私たちのくらしを見つめなおすきっかけになるような本です。

太平洋のまん中にある巨大なプラスチックゴミベルト地帯。
断熱材、玩具、ペットボトル、レジ袋、漁具……。
プランクトンの数より多いプラスチックの粒子は食物連鎖の中に入り込んでゆきます。
便利を求める使い捨て文化の果てに壊されてゆく環境。

文明を建築とするなら、環境は地盤のようなものです。
どんな立派な建築も地盤が崩れてしまってはなんともなりません。
このままで良いはずがない。
そんなことを考えさせてくれる1冊です。
2013年1月


地中熱の話
縦穴式
エネルギー多様性住宅。

最近考えていることです。
昨年の原発事故以来、何でもかんでも電気に頼ることがいいことかどうか疑問を持ちはじめました。
熱は熱として、光は光として使う方が効率もいいし、環境にも負荷が少ないと思うのです。

そんなエコ技術の一つ、地中熱利用に今興味を持っています。


一年中通して15度という地中の安定した温度をそのまま利用できれば、
冷暖房エネルギーを少なくできるのではないか。

縄文時代の縦穴式住居などは、地面に穴を掘り、上を草で厚く覆って断熱した
最も原始的な地中熱利用住宅だったのではないかと私は考えています。

これはうまくやれば、現代の住宅にも応用できるかもしれない。
そんなことを考えている今日この頃です。
2012年4月


昨年、日本は大変な一年でした。

中部地方は直接の被害を受けたわけではありませんが、 しかしあの3.11以来、
人々の意識が少し変わったような気がします。

経済効率一辺倒、目先の利益にとらわれ、何の疑問も持たずに巨大システムにぶら下がって生きる。
そんな生き方に疑問を持ちはじめた人が増えたように思います。

21世紀は確実に、資源というエネルギーを上手く使いながら生きていかなければならない時代です。

今までのように使いたいだけ使うようなくらしは出来なくなるでしょう。
だからといって私たちが豊かさを失うというわけではなく、むしろ逆だと思います。

もう一度、くらしの在り方について落ち着いて考えてみれば、本当の豊かさが見えてくると思います。
私たちはきっとそこから、新しい家の形、くらしの形を生み出すことができるような気がします。
2012年2月


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